2004 Fiscal Year Annual Research Report
地下水を汚染する塩素系有機溶媒によるアレルギー増悪化機構の解明
Project/Area Number |
15590111
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Research Institution | Gifu Phamaceutical University |
Principal Investigator |
永瀬 久光 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40141395)
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Keywords | I型アレルギー反応 / テトラクロロエチレン / IL-4 / INF-γ / PCA反応 / RT-PCR法 / 腸間膜リンパ節 / Th1 / Th2バランス |
Research Abstract |
有機塩素系溶媒により飲料水質基準値レベルに汚染した飲水曝露に伴いI型アレルギーが増悪化されるかについてPCA反応試験により評価した。テトラクロロエチレン(PCE)の水道水質基準値(0.01mg/L)およびその100倍濃度の低濃度汚染水をラットに2または4週間飲用させたところ、用量依存的,期間依存的なPCA反応の増強を認めたことを受けて、そのI型アレルギー増強機構として、PCEが免疫担当器官(脾臓,胸腺,リンパ節)のサイトカイン産生に及ぼす影響について検討を行った。 Wistarラット(雄性,飲用開始時8週齢)にPCEの環境基準値(0.01mg/L)およびその100倍濃度汚染水を4週間飲用させた。飲用終了時に腹部大動脈より採血し、脾臓,胸腺,リンパ節(頚部リンパ節,腸間膜リンパ節)を摘出した。全血由来のtotal RNAを用いて、RT-PCR法によりIL-4,INF-γ mRNAの発現量を測定してTh1/Th2サイトカイン産生に及ぼすPCEの影響を評価した。 PCEを短期間経口的に摂取させた結果、また遺伝子レベルでTh2サイトカインのIL-4 mRNA発現増加が認められ、Th1サイトカインのINF-γ mRNA発現には変化が認められなかった。よって低用量PCEを経口摂取したことにより、腸間膜リンパ節においてTh2分化が亢進したのではないかと考えられた。またTh1/Th2サイトカイン発現に関しては、PCE飲用群においてIL-4 mRNAが有意な発現量増加を示した。 本研究の成果から、PCE曝露によって個体の体質が相対的にTh2側に偏ることがI型アレルギー反応増強機構のひとつではないかと考えられた。本結果は、環境基準値のような低用量PCE曝露により、アレルギー皮応が増悪化-重症化に働く可能性を示唆するものである。
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