2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590112
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
姫野 誠一郎 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (20181117)
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Keywords | 金属化合物 / サイトカイン / インターロイキン6 / カドミウム / マンガン / コバルト |
Research Abstract |
1.Mn,Coによるサイトカイン誘導の機構 ICR系雄マウスにMnCl_2,CoCl_2を様々な濃度で皮下投与し、投与後様々な時点で採血を行い、血漿中IL-6,IL-1β,TNF-α濃度、及び、急性期蛋白質の一種であるSerum Amyloid A(SAA)濃度を測定した。その結果、Mn,Coのいずれを投与した際も、炎症性サイトカインのうち、IL-6のみが投与3-6時間後に濃度依存的に上昇した。しかし、Mn投与の場合は、IL-6に続いてSAAが上昇したが、Co投与の場合にはSAA濃度の上昇が認められなかった。Mn投与マウスの肝臓からtotal RNAを採取し、RT-PCR法によりIL-6のmRNA量を測定したところ、投与6時間後にmRNA量が顕著に増加していた。したがって、Mnは確かに肝臓におけるIL-6の発現を亢進させる事が明らかになった。 培養細胞を用いて、金属化合物によるサイトカイン産生の機構を調べるため、ヒト肺癌細胞(A549)にMn,Co,Cdを様々な濃度で添加し、メディウム中の各種サイトカイン濃度を測定したが、IL-6の濃度上昇は確認できなかった。次年度に、より広範囲の細胞株を用いて、MnあるいはCoに反応する細胞を検索する必要がある。 2.カドミウム毒性の抑制へのIL-6の関与 ICR系雄マウスにCdCl_2と同時に、MnCl_2、あるいはCoCl_2を投与し、肝障害、精巣出血に及ぼす影響と、血漿中サイトカイン濃度、SAA濃度を経時的に測定した。Mn、CoともにCdによる肝障害、精巣出血を濃度依存的に抑制した。その際、Cd投与によってSAA濃度の上昇が認められたが、Co投与によってSAAの値は濃度依存的に低下した。また、IL-6ノックアウトマウスにCdとCoを同時に投与すると、Coによる肝障害抑制効果が認められなくなった。したがって、少なくともCoによるCd毒性抑制効果には、IL-6が関与していると考えられる。
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