2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境内発がん物質N-ニトロソ化合物の活性酸素種による新規活性化経路の解明
Project/Area Number |
15590113
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
望月 正隆 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (10072414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 さと子 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (70223518)
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Keywords | N-ニトロソジアルキルアミン / ヒドロキシラジカル / 突然変異原生 / DNA損傷 |
Research Abstract |
本研究は、シトクロムP450の代わりに、ヒドロキシルラジカル発生系を用いてN-ニトロソジアルキルアミン類の活性化を追跡し、推定代謝中間体の詳細について調べることでN-ニトロソジアルキルアミンの新たな生体内酸化機構を検討することを目的とした。 N-ニトロソ-N-メチルブチルアミンを鉄-銅-過酸化水素系で処理し、生成する変異原性物質を単離した結果、構造が環状化合物の5-メチル-5-ニトロ-1-ピラゾリン1-オキシド(化合物1)であることを明らかとした。化合物1を別途合成する際、最終段階で生成するN-オキシドの位置が異なる異性体(化合物2)を分離し、サルモネラTA1535に対する両者の変異原活性を比較した結果、化合物1は強い変異原活性を示したのに対し、化合物2はほとんど活性を示さなかった。このことから、ピラゾリン環の二つの窒素原子のうちメチル基近傍の窒素原子の酸化が変異原性発現機構に重要であることがわかった。一方、N-ニトロソ-N-メチルブチルアミンの鉄-銅-過酸化水素系処理による反応生成物には、化合物1の他に、活性が強い変異原性物質または変異原性増強物質が含まれている可能性があるため、現在、活性変化を追跡しながら単離を進めている。 化合物1は従来報告されているN-ニトロソジアルキルアミンの代謝活性化体であるα-水酸化体とは異なる新規の酸化生成物である。化合物1が塩基対置換型突然変異を検出する菌株で直接変異原性を示すことから、その活性発現機構にはDNAのアルキル化過程が含まれていると推定できる。今後は、種々の代謝酵素を欠損した菌株における化合物1の変異原活性を比較して、DNA損傷機構を解析する。さらに、化合物1の生成機構について詳細に検討し、N-ニトロソジアルキルアミンの新たな生体内酸化機構へのラジカルの関与について検討する。
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Research Products
(1 results)