2003 Fiscal Year Annual Research Report
CYP2Bファミリーの性依存的発現を制御するホルモン間相互作用とその変動効果
Project/Area Number |
15590125
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
根本 信雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (10085631)
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Keywords | CYP2B / シトクロムP450 / 性ホルモン / 成長ホルモン / マウス |
Research Abstract |
医薬品の薬理作用や副作用発現には、代謝過程が関わる例が多く、テーラーメイド医療推進には薬物代謝酵素関係の情報が必要である。薬物代謝酵素の発現には様々な因子が係わっている。その一つとして、臨床薬の代謝に男女差を認めた報告がある。従って,性差が何に起因するかを考える上で、実験動物を使った基礎データの集積が必要である。マウス肝臓においては、Cyp2b9は雌特異的に発現するP450分子種である。出生直後ではCyp2b9発現が雌雄とも認められるが、思春期頃から雄で発現抑制が起こり始め、成長すると雌雄差が現れてくる。このような雌雄差をもたらす要因について、各種ホルモンの関与を検討した。 雌マウスにテストステロン処置すると発現が抑制され、雄マウスの精巣を摘出すると雌並みの発現することから、Cyp2b9遺伝子の転写抑制に雄性ホルモンが関与していることが示唆された。しかし、肝細胞初代培養系においては雄性ホルモン添加によりCyp2b9発現を抑制しないことから、肝細胞に直接働きかけるためではないことが分かった。また、脳下垂体摘出雄マウスではCyp2b9発現が雌と同レベルに亢進し、そこに雄性ホルモンを投与しても発現を抑制しなかったため、脳下垂体分泌因子が抑制に係わっていることが示唆された。候補の一つとして成長ホルモンが考えられた。成長ホルモンの分泌パターンは雌雄で異なっているため、それぞれの分泌パターンに類似した投与をしたところ、雄型のパターンで雌雄の脳下垂体摘出マウスで発現抑制が認められた。従って雄マウスに観察されるCyp2b9発現の抑制は、雄性ホルモンが視床下部に働き、視床下部から脳下垂体に対して雄型に成長ホルモンを分泌するように指令が行く経路が考えられた。しかし、雄性ホルモンによって完全にCyp2b9発現が抑制されないので、別の抑制経路の存在を考慮する必要がある。
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Research Products
(1 results)