2004 Fiscal Year Annual Research Report
関節疾患に対するハイドロダイナミクス法を用いた遺伝子治療についての検討
Project/Area Number |
15590135
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
三上 靖夫 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (80360030)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20178031)
松田 修 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (00271164)
井上 重洋 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (10184748)
|
Keywords | ハイドロダイナミクス / 遺伝子治療 / EBVベクター / 関節リウマチ / 非ウイルス性遺伝子導入 / IL-10 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高圧を利用してプラスミドDNAを導入するハイドロダイナミクス法が関節疾患の治療法として有効であるかどうかを検討することである。マーカー遺伝子として、ルシフェラーゼ遺伝子(GL3)を用いて、EBNA1遺伝子およびEBV oriPを有するEBVプラスミドベクター(pGEG.GL3)と、対照としてEBV由来の構造を持たない通常のプラスミドベクター(pG.GL3)を作成した。プラスミドDNAを生理食塩水に溶解し、DBA-1マウスの尾静脈から加圧下に投与した。導入後経時的に全身諸臓器を採取し、ルシフェラーゼアッセイを行い、遺伝子の発現効率および局在について検討した。肝臓においては著名なルシフェラーゼ発現を認め、pGEG.GL3導入群ではpG.GL3導入群に比し、発現量および発現期間で高値を示した。また、心、肺、腎および脾においても、肝臓には及ばないものの遺伝子発現を認め、同様にpGEGの優位性が認められた。しかし、関節内組織の軟骨、滑膜における遺伝子発現は低値であった。Naked DNAの関節内導入を促進するために、電気的パルセーションとの共役による関節滑膜への遺伝子導入を検討した。プラスミドベクターを関節内に投与し、種々の電圧パルセーションを加えた。電圧に依存して、パルセーションをかけた部位に特異的に導入遺伝子の発現を認めた。RAモデルであるCIAマウスへハイドロダイナミクス法を用いて、IL-10遺伝子を全身性に導入した。コラーゲンで免疫後に遺伝子導入を行った治療的投与群において、IL-10遺伝子導入により、関節炎の発症を抑制することができた。これはIL-10によるTh1制御が関節炎の進展を遅延させたと考えられた。ハイドロダイナミクス法ではウイルスや合成高分子等を用いず、施行が容易で低コストという利点があり、関節疾患を対象とした遺伝子医薬に道を開く可能性がある。
|