2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管膜構造と機能修飾による薬物の有効かつ安全な吸収改善及びその予測システムの開発
Project/Area Number |
15590140
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幹雄 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (60207610)
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Keywords | P-glycoprotein / 吸収改善 / 吸収部位差 / トランスポーター / 感染症 / mdr1a mRNAレベル |
Research Abstract |
1.吸収促進剤のP-glycoprotein (P-gp)機能修飾について、酒石酸によるRhodamine 123 (Rho123)の吸収動態変化から評価した。Rho123の腸管ループ内残存量からRho123の消失クリアランスを算出するIn Situ法は、薬物吸収におけるP-gpのWhole Bodyでの寄与率算出に非常に有用である。コントロール条件下での空腸、回腸および結腸からの消失クリアランスは、各々0.47、1.15および0.83μl/min/cmであり、これに対してP-gpの選択的阻害剤ベラパミルを共存させることで、それぞれ1.28、2.08および1.14μl/min/cmに増大した。この結果は、部位特異的なP-gp機能活性の存在を示すものである。次に酒石酸を添加した場合の消失クリアランスは、それぞれ0.142、1.43および1.80μl/min/cmに増大した。小腸においては、In Vitroで見出された細胞間隙ルートの変化が認められないことから、特に回腸からのP-gp基質の吸収改善は、酒石酸による選択的P-gp機能の修飾によることが示された。 2.吸収性予測システムに関しては、遺伝子診断に基づいた方法の開発を試みた。当初予定した大腸炎はモデル作成が難しく、今回はLipopolysaccharideの腹腔内投与により作成した感染症モデルラットを用いて、回腸におけるmdr1a mRNAレベルとRho123の吸収動態に非常に高い相関が見出された。また感染症の重症度により吸収動態に変動が見られ、mdr1a mRNAレベルからその吸収動態を十分に説明出来ることが示された。しかしこの方法は侵襲的なものであるため、非侵襲的な方法の開発が不可欠である。その方法の一つとして、末梢血を採取し、そのリンパ球中のmdr1a mRNAレベルと吸収性との関連性の検討を現在続行中である。
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Research Products
(2 results)