2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590156
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井関 尚一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (50167251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 友彦 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (70305100)
HIPKAEO Wiphawi 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (70345627)
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Keywords | 顎下腺 / 舌下腺 / 分化 / テストステロン / 転写因子 / 動物レクチン / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
1)顎下腺導管のアンドロゲンによる分化におけるメニンの発現 転写因子のJunDに結合してその転写誘導活性を調節するとされる核内蛋白質のメニンについて研究した。メニンの発現量は雄マウスより雌マウスの顎下腺で高く、その差は生後4週頃に雄の顎下腺の線条部導管が顆粒性導管に分化する際に、核のメニンが消失するためであることがわかった。成熟雌マウスにテストステロンを投与して導管系を分化させると、メニンが一過性に線条部導管細胞で増加し、これらが顆粒性導管細胞に分化するとメニンは消失した。この発現パターンはJunDの発現パターンと一致し、JunDとメニンの結合体の発現増加とそれに続く消失が顎下腺導管のアンドロゲンによる分化機構に関与していることが示唆された(論文準備中)。 2)ラット舌下腺に特異的に発現する遺伝子の同定 ラット顎下腺と舌下腺の混合物のcDNAを解析したところ、舌下腺のみに発現し、顎下腺や耳下腺、あるいは他のどの器官にも発現しない遺伝子を見いだした。この遺伝子によりコードされる蛋白質は動物レクチンの一種であるヒトのERGIC-53様蛋白質(ERGL)と高いホモロジーをもつので、SLAMP(舌下腺腺房膜蛋白質)と名付けた。SLAMPに対する免疫抗体を作成してラット舌下腺を調べたところ、腺房細胞の粗面小胞体とゴルジ装置の中間に存在する膜に局在することがわかり、舌下腺腺房細胞によるムチンなどの糖蛋白質の産生と分泌に関与していることが示唆された(論文投稿中)。 3)ラット顎下腺腺房のイソプロテレノールによる分化のホルモン依存性 ラットにβアドレナリン性作動薬であるイソプロテレノールを投与すると、顎下腺の腺房細胞に蛋白質分解酵素阻害物質の一種であるシスタチンSの発現が誘導されるが、下垂体切除ラットではこの誘導反応が極端に低いことがわかった。同ラットに下垂体依存性のホルモンであるテストステロン、エストラジオール、デキサメサゾン、またはチロキシンを投与すると、いずれもイソプロテレノールによるシスタチンSの発現誘導は上昇した。このことから、顎下腺腺房細胞の分化にはβアドレナリン性の神経刺激と同時にステロイド系のホルモンが必要であることが示唆された(論文印刷中)。
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