2003 Fiscal Year Annual Research Report
Bax発現系による発生過程で起こるニューロン死のメカニズム解析
Project/Area Number |
15590165
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00254756)
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Keywords | 細胞死 / Bax / ニワトリ胚 / 網膜 / 脊髄神経節 / 運動ニューロン |
Research Abstract |
Baxをニワトリ胚の神経組織において過剰発現させて、発生過程で起こるニューロン死のメカニズムを明らかにすることが本研究課題の目的である。 この目的を達成するためにまず、ニワトリ胚の神経組織への有効なBax導入方法を検討した。増殖型トリレトロウイルスベクターRCASBPは以前から我々が用いている遺伝子導入法であるが、Baxを組み込んだベクターは感染した組織で十分Baxを発現させることが確認された。また神経特異的な遺伝子導入を目的として、運動ニューロン特異的なプロモーターを幾つか試みたが、レトロウイルスではうまく機能しなかった。現在はそれらのプロモーターをレトロウイルスを用いるのではなく、通常の発現プラスミドの状態で生体エレクトロポレーション法を用いて導入する系を検討している。 RCASBPは期待どうり広範囲の組織にBaxを過剰発現させることができたので、幾つかの神経組織でその影響を検討した。その結果、初期網膜や脊髄神経節ではBax発現によってニューロン死が増強することが明らかになった。だだしBaxを発現していてもプログラム細胞死の時期より以前の神経細胞集団には影響はなかった。これらのニューロン死の増強はBaxの細胞内局在の変化とカスパーゼ3の活性化の増強も伴っているため、Baxがそれらの細胞内で細胞死促進分子として機能した結果だと推測された。またこの細胞死の増強は単に本来のニューロン死の加速だけではなく、生き残るはずのニューロンをも含むものであることがわかった。一方で、頚髄で起こる早期の運動ニューロン死は、初期網膜や脊髄神経節と同様のBaxの活性化が起こっているにも関わらず、Bax発現によって影響を受けなかった。現在この知見をさらに詳細に検討している。
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