2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染におけるラフト・カベオラの機能と細胞内シグナル応答について
Project/Area Number |
15590177
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
野村 隆士 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20325161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 隆夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10187875)
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Keywords | コロナウイルス / ラフト / カベオラ / コレステロール / カベオリン / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
これまでに,我々はCD13がヒト線維芽細胞の主要ラフト成分であり,生細胞において抗体を用いて架橋するとカベオラへ移動する現象を見出した.CD13はヒトコロナウイルス-229E(HCoV-229E)のレセプターであることから,HCoV-229Eは抗CD13抗体と同様にCD13を架橋しカベオラへ移動する可能性についても検討したところ,HCoV-229Eもカベオラへ移動することが判明した.今年度は,HCoV-229Eがカベオラから細胞内へ侵入する可能性について検討した. 膜コレステロールを枯渇させることで,ラフト,カベオラの機能を阻害した際のウイルス局在を追跡した.あらかじめ細胞にコレステロール結合試薬であるmethyl β-cyclodextrin (MeβCD)を作用させた場合,ウイルスとカベオリン-1の局在が一致する細胞数は有意に減少した.MeβCD処理後,コレステロールを付加すると,両者の局在が一致する細胞数は回復した. 膜コレステロール枯渇処理がHCoV-229Eの細胞内エントリーに与える影響を検討した.ウイルスを細胞に吸着させ,37℃,3.5時間培養後,トリプシン処理にて細胞表面のウイルスを除き,細胞内のウイルス量をRT-PCR法を用いて定量した.MeβCDで前処置した細胞では,細胞内ウイルス量は減少した.MeβCD処理の後,コレステロール付加を行った細胞では,細胞内ウイルス量は回復した. カベオリン-1をノックダウンすることでカベオラ形成を抑制した細胞におけるHCoV-229E感染効率を検討した.細胞にカベオリン-1 siRNAを導入し,ウイルスを吸着させ,37℃,48時間培養後,蛍光抗体法によりウイルス感染細胞数を定量した.カベオリン-1の発現量が減るに従って,ウイルス感染効率が抑制されることがわかった. 以上の結果から,HCoV-229Eは細胞内侵入において,カベオラを経由していることが示唆された.
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Research Products
(2 results)