2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590180
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Research Institution | National Institute for Physiological Science |
Principal Investigator |
古家 園子 生理学研究所, 脳機能計測センター, 助手 (20096952)
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Keywords | 小腸 / 筋線維芽細胞 / 上皮細胞 / 細胞間Ca^<2+>シグナリング / ATP / 水チャネル / メカノセンサー / RT-PCR |
Research Abstract |
1)消化管の上皮細胞の下でギャップ結合を介してネットワークを形成している筋線維芽細胞は、上皮細胞の分化、移動と密接な関連をもっているのみでなく、吸収上皮細胞の持つ水や電解質の分泌、吸収機能を制御している可能性がある。筋線維芽細胞の分泌するTGF-βやTNF-αが上皮細胞のタイト結合に影響を与えることが既に知られているので、今回、水の吸収や分泌に着目して実験を行った。消化管の吸収上皮細胞の絨毛にはAQP10,基底側にはAQP3の水チャンネルが発現していることが報告されている。そこで、ラツト大腸由来正常上皮細胞株IEC-6およびIEC-18細胞におけるAQPの発現を、各細胞のみの培養と絨毛上皮下筋線維芽細胞とのco-cultureで差が出るかをRT-PCR法で検討した。しかしIEC-6、IEC-18ともにAQP1,3,4,10の発現が検出されず、co-culture系においても、AQPの誘導が見られなかった。現在、ヒト大腸癌由来の上皮細胞であるT84やCaco2細胞を用いてAQP発現における筋線維芽細胞の影響をしらべている。 2)食べ物や水などの摂取により化学的刺激、機械的刺激が与えられると、上皮細胞やエンテロクロマフィン細胞からセロトニンやATPが放出され、知覚神経終末に作用して反射が誘起されると、従来考えられてきた。筆者は絨毛上皮下線維芽細胞がタッチ、ストレッチの機械的刺激に反応してATPを放出するメカノセンサーであり、消化管におけるCa^<2+>シグナリングの要であること、又,筋線維芽細胞から神経細胞へのCa^<2+>波の伝達を証明してきた。16年度は、絨毛上皮下線維芽細胞と上皮細胞間の可逆的なCa^<2+>シグナリングの機構を明らかにする為に、co-culture系の確立を試みた。機械的刺激により1個の筋線維芽細胞から放出されるATP量はわずかなため、ATPに対する感受性が高い細胞株でないとこの実験は成り立たない。IEC-6、IEC-18、T84などの株細胞を用いて、検討してきたが、現在までのところは最適な細胞および条件がみつからず、絨毛上皮下線維芽細胞と上皮細胞間の可逆的なCa^<2+>シグナリングが検出出来ていない状態である。引き続き、この実験に最適な条件を検索している。
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Research Products
(3 results)