2003 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の内向き整流性カリウムチャネルの分子基盤の解明
Project/Area Number |
15590187
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
柳 圭子 (石原 圭子) 佐賀大学, 医学部, 助教授 (70265990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
頴原 嗣尚 佐賀大学, 医学部, 教授 (50037446)
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Keywords | 心筋細胞 / イオン電流 / カリウムチャネル / 内向き整流カリウムチャネル / コンピューターモデル |
Research Abstract |
心筋細胞の内向き整流性カリウムチャネルを流れる外向き電流は、心筋活動電位の再分極相を担う主要な電流であり、その振幅変化は心筋活動電位の持続時間を変化させ、その異常により不整脈が誘発されることが解っている。内向き整流性カリウムチャネルを流れる外向き電流振幅は、細胞内の有機アミン(ポリアミン)やマグネシウムイオンなどによるチャネルの電位依存性ブロックによって制御されていることがわかっているが、詳細はいまだ不明である。我々は本チャネルを形成する主要なサブユニットをコードするKir2.1遺伝子をヒト細胞株(HEK293T細胞)に導入して癸現させ、イオンサイド・アウトパッチ膜より記録されたチャネル電流に対するポリアミン(スペルミン・スペルミジン)やマグネシウムイオンによるチャネル・ブロックを詳細に調べた。その結果、単一の遺伝子から発現されるチャネルにも係わらず、ポリアミンやマグネシウムイオンに対する感受性の異なる2種類のチャネルが細胞膜上には存在し、外向き電流は主として、少数の感受性の低いチャネルを流れることを明らかにした。また感受性の異なる二種類のチャネルの割合は、ブロックとは異なるメカニズムによって細胞内のポリアミンにより制御されることも明らかにし、Kir2.1チャネルを流れる外向き電流振幅を細胞内のスペルミンとスペルミジン濃度の関数として定量的に再現できる数学モデルを作成し、これらの結果をJournal of Physiologyに発表した(2004年)。また、マグネシウムイオンは感受牲の強いチャネルタイプを選択的にブロックし、外向き電流振幅を制御することを見出した(投稿準備中)。これらの研究成果は心臓の収縮機能や不整脈の原因究明のために重要な知見であり、さらに数学モデルの作成は心臓機能を忠実に再現できるコンピューターモデルの完成にむけて必要不可欠な重要な成果であると考えられる。
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