2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神性ストレス時の血圧調節におけるエストロゲンの効果とその分子機構
Project/Area Number |
15590208
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (00264755)
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Keywords | 精神性ストレス / エストロゲン / 血圧 / 内皮型一酸化窒素合成酵素 / 一酸化窒素 / 心拍数 / 末梢血管 / テレメトリーシステム |
Research Abstract |
本年度は、エストロゲンが精神性ストレス負荷時の昇圧反応に及ぼす効果とそのメカニズムについてラットを用いて研究した。特に、血管壁における内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)に対するエストロゲンの効果を明らかにした上で、その分子機構について検討した。 (1)ストレス時の循環反応に及ぼす性差とエストロゲンの影響 精神性ストレスが主体であるケージ交換ストレスをオス群、メス群、卵巣摘出+プラセボ群、卵巣摘出+エストロゲン補充群の4群のラットに負荷し、テレメトリーシステムを用いて、血圧、心拍数及びActivityの変化を測定した。ストレス負荷による昇圧反応は、オス群に比べメス群では減弱する傾向が認められた。また、プラセボ群に比べ、エストロゲン補充群ではケージ交換ストレスによる昇圧反応及び心拍数増加反応が有意に抑制された。一方、拘束ストレスに対する昇圧反応においてもエストロゲン補充群ではプラセボ群に比べ有意な減弱が見られた。 (2)NOS阻害剤の持続投与がストレス時の循環反応に与える影響 4群のラットにNOS阻害剤である、N^ω-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME)を添加した水を24時間摂取させた後、ケージ交換ストレス負荷を行ない、血圧及び心拍数増加反応を通常の水摂取時と比較検討した。NOS阻害剤はストレス性昇圧反応の性差には影響を与えなかったが、プラセボ群とエストロゲン補充群の間の昇圧反応や心拍数増加反応における差はNOS阻害剤の前投与により消失した。 (3)動脈壁eNOSと関連蛋白に対するエストロゲンの作用 4群ラットの大動脈と腸間膜を摘出し、eNOS発現量をWestern blottingにより測定した。腸間膜のeNOS発現量はオス群を1とすると、メス群では1.7、プラセボ群では1.2、エストロゲン補充群では2.3であり、エストロゲン補充群ではオス群、プラセボ群に比べ有意な増加を示した。また、大動脈におけるeNOS発現量はエストロゲン群はオス群に比べて有意に増加していた。 以上の結果より、エストロゲンはストレス時の血圧上昇反応を減弱させることが判明した。また、エストロゲンは末梢血管におけるeNOSの発現量を増加させることも分かった。この発現量の増加がストレス時に血管壁における一酸化窒素の産生を増大し、末梢血管抵抗の増加を緩和している可能性が示唆された。
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