2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神性ストレス時の血圧調節におけるエストロゲンの効果とその分子機構
Project/Area Number |
15590208
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (00264755)
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
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Keywords | 精神性ストレス / エストロゲン / 血圧 / ノルエピネフリン / 4-hydrixy-2-nonenal / ハンドグリップ / 閉経後女性 / 月経周期 |
Research Abstract |
本年度は、ヒトにおける精神性ストレス反応及び運動時の循環反応に対するエストロゲンの影響について検討を行なった。 (1)ヒトにおける精神性ストレス負荷時の循環反応とエストロゲン作用 健康な若年女性8名と閉経後女性7名の2群を対象にストループカラーワードテスト(CWT)によるストレス負荷実験を行なった。若年女性はestradiol濃度が最低値を示す月経期(M期)と最高値を示す排卵前期(O期)の2期に負荷テストを実施した。若年女性の安静時血圧にはM期とO期の間で有意な差はなかったが、血漿norepinephrine(NE)濃度は、O期で有意に高かった。CWTによる収縮期・拡張期血圧増加反応及び血漿NE増加反応は、M期に比べO期で減弱する傾向があった。閉経後女性では、安静時の拡張期血圧が有意に高かった。また血漿nitrite/nitrate(NOx)濃度が高い傾向にあった。CWT負荷により、若年女性に比べ、拡張期血圧の増加反応が有意に増大し、安静レベルまで回復するのに時間を要した。また、前額皮膚血流増加反応も同様に増大していた。さらにCET負荷からの回復期に、閉経後女性では血漿4-hydroxy-2-nonenal濃度が有意に増加した。 (2)ヒトにおける運動ストレス負荷時の循環反応とエストロゲン作用 上記2群に対象に運動ストレスとして、最大握力の30%強度のハンドグリップ(HG)を5分間負荷した。HGによる血圧上昇反応には若年女性の2期および閉経後助成との間に差はなかった。また、CWT負荷では前腕皮膚血流よりも前額皮膚血流が著明に増加したが、HG負荷では前腕血流の方が前額皮膚血流よりも増加していた。 以上のことより、エストロゲンは精神性ストレス負荷による血圧上昇反応を減弱させる可能性が示唆された。またエストロゲンは、精神性ストレスからの回復期に増加する酸化ストレスに対し抗酸化的に作用する可能性も認められた。
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Research Products
(1 results)