2005 Fiscal Year Annual Research Report
授乳期並びに成長期に加えた触刺激が成熟後の自律反応におよぼす影響とその機序の研究
Project/Area Number |
15590214
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
黒澤 美枝子 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (30178131)
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Keywords | 触刺激 / 側坐核 / ドーパミン / 報酬系 / 脊髄血流 / 分節性反応 / 全身性反応 / ラット |
Research Abstract |
本研究は授乳期・成長期に加える皮膚触刺激により、成熟後の自律神経機能にどのような影響が出現するかについて検討することを目的としている。 本年度は第一に、腹側被蓋野から側坐核に投射するドーパミン放出に着目し、皮膚への触刺激による反応を検討した。側坐核ドーパミンは快情動と深く関わり、自律神経機能にも広く影響をおよぼすことが知られている。実験にはラットを用い、生後6週以降2-3週間触刺激を加えて育てた群と何も刺激を加えないで育てた対照群とで比較した。実験はウレタンを用いた麻酔下条件並びに意識下条件で行った。ラットを麻酔し、情動の影響のない状態で両側背部の皮膚に触刺激を加えると、側坐核ドーパミン放出は刺激中ならびに刺激後の5分間に有意な増加を示した。有意な増加は反対側背部への触刺激によっても認められたが、同側背部への触刺激によっては認められなかった。また、両側の前肢、後肢、腹部皮膚への触刺激によっても有意な増加は認められ、全身性の反応を示した。同様の実験を意識下ラットで行ったところ、皮膚触刺激による側坐核ドーパミン放出反応は麻酔下における反応とほぼ同様に認められ、また成長期に触刺激を加えて育てるか否かの差も認めなかった。 本年度はまた、触刺激による脊髄血流反応をウレタンで麻酔したラットにおいて検討した。脊髄血流は四肢の麻痺によって減少することが知られ、また血流の低下は細胞機能の回復を悪化させることが知られている。脊髄血流はレーザードップラー血流計プローブを背側表面に置いて測定した。第12胸髄-第1腰髄の血流は同側背部と大腿部への触刺激によって増加し、一方、第4-6腰髄の血流は同側大腿部と後肢足蹠への刺激によって増加した。他の皮膚領域の刺激によってこれらの脊髄血流は変化しなかった。脊髄血流の触刺激に対する反応は同側性でしかも分節性の強い反応であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)