2004 Fiscal Year Annual Research Report
PACAP I型受容体(PAC1)ノックアウトマウスを用いた神経内分泌機構の解析
Project/Area Number |
15590216
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
澁谷 泉 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50162649)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上園 保仁 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20213340)
|
Keywords | 視索上核 / 下垂体後葉 / バゾプレシン / オキシトシン / 細胞内Ca^<2+> / Ca^<2+> clearance / Somatodendritic release / Signal transduction |
Research Abstract |
1.視床下部視索上核(SON)ニューロンの神経終末である、下垂体後葉から単離したラット単離神経終末標本を用いて、細胞内Ca^<2+>クリアランス機構を解析した 2.細胞外K^+濃度を5mMから50mMに上昇させることにより、細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)の著明な上昇が観察され、K^+濃度を元に戻すことにより、[Ca^<2+>]_iは速やかに刺激前値に戻った。 3.神経終末においては、ミトコンドリアのuncouplerであるCCCPは[Ca^<2+>]_iの回復過程を有意に遅延し、細胞膜のCa^<2+> ATPaseの阻害薬であるLa^<3+>はこの過程をほぼ阻害した。 4.細胞内Ca^<2+>ストアに作用することが知られているthapsigargin、caffeine、ryanodine、ならびに細胞膜のNa^+/Ca^<2+>交換を阻害する細胞外Na^+除去は、[Ca^<2+>]_iにも、高K^+刺激後の[Ca^<2+>]_iの回復過程にも影響が無かった。 5.単離神経終末標本からのバゾプレシン、オキシトシン分泌を測定したところ、高K^+刺激に対しては[Ca^<2+>]_iとほぼ平行した分泌反応が観察され、かつ、上記の細胞内Ca^<2+>クリアランス機構に作用する薬物の効果もほぼ同様であった。唯一、[Ca^<2+>]_iと分泌の解離がみられたのは[Ca^<2+>]_iはLa^<3+>によって高K^+刺激後に高値を維持したのに対し、ペプチド分泌は徐々に下降した点であった。 6.以上の結果より、視床下部視索上核ニューロンの神経終末においては、細胞膜のCa^<2+> ATPaseがCa^<2+> clearanceにおける最も重要な調節分子であること、ミトコンドリアへのCa^<2+>取り込みも一部関与していること、さらには細胞内Ca^<2+>ストアは存在しないか、存在したとしてもCa^<2+> clearanceには関与しないことが示唆された。これらの結果は電子顕微鏡により観察した単離神経終末標本に高頻度にミトコンドリアが存在する事実とよく一致している。また、下垂体後葉におけるペプチド分泌は[Ca^<2+>]_iと密接に関連して変動していることが示唆され、La^<3+>投与時の高値[Ca^<2+>]_iの際の分泌減少はおそらく神経ペプチド分泌顆粒の枯渇などによる神経終末のfatigueに起因するものを考えられた。
|
Research Products
(4 results)