2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳精巣に特異的に発現する新規免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーの発現解析
Project/Area Number |
15590219
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
林 要喜知 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70173044)
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Keywords | 免疫グロブリンスーパーファミリー / 精巣 / 脳梁 / 神経突起 / 精子形成 |
Research Abstract |
脳や精巣に特異的に発現している免疫グロブリンファミリーメンバーの一つであるBT-IgSF(brain-and testis-specific immunoglobulin superfamily)は、中枢神経系ニューロンやグリア細胞等で発現している。 その分子構造から細胞接着分子としての機能が推測されるため、まず、培養COS7細胞にBT-IgSF遺伝子を導入した。その結果、培養皿基壁への細胞接着が著しく低下し、むしろ遺伝子導入細胞間での細胞接着が増強された。また、遺伝子導入細胞では、細胞増殖の抑制も認められた。この抑制効果は、あるフェーズで細胞周期が阻止されたためか、接着系細胞が浮遊することによるものかを明らかにするため、現在、アデノウイルス系を用いて精査している。また、脳や脊髄組織における免疫化学により、脳梁のみならず脊髄の交連線維などに内在性BT-IgSF発現を認めた。現在、培養神経細胞とBT-IgSF遺伝子COS7細胞の併置培養を進めており、神経突起伸展の促進や分枝効果の作用を確かめているところである。 一方、精巣におけるBT-IgSF発現パターンを解析した実験から、精子形成ステージIIからVII(特にIV〜VI)の円形精子細胞期に特異的発現をしていることが明らかになった。ウエスタンブロツト法での解析により、精巣では脳と同様に52hDa分子が認められたが、精巣上体や精漿では、23kDaの分子が多く認められた。今後、これらの差異のみならず、脳や精巣におけるBT-IgSF作用の分子機構を明らかにしたい。
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