2003 Fiscal Year Annual Research Report
ハムスターの冬眠制御機構解明と低温負荷による生体侵襲に対する内因性保護因子の同定
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15590242
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
塩見 浩人 福山大学, 薬学部, 教授 (60025715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 助教授 (30217202)
中村 明弘 福山大学, 薬学部, 教授 (70172393)
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Keywords | 冬眠調節機構 / 神経保護因子 / アデノシン / アデノシンA1受容体 / アデノシンA2受容体 / オピオイド・ペプチド / オピオイド受容体 / TRH |
Research Abstract |
【冬眠の神経調節機構の解明】自然冬眠導入期ハムスターの側脳室にアデノシンA1受容体拮抗薬を投与すると、体温が急激に上がり低体温から回復したが、オピオイド拮抗薬の投与では低体温からの回復は観察されなかった。一方冬眠期ハムスターの側脳室にオピオイド拮抗薬を投与すると、体温が急激に上がり冬眠から回復したが、アデノシンA1受容体拮抗薬の投与では冬眠からの回復は観察されなかった。Thyrotropin-releasing hormone(TRH)の側脳室投与では、冬眠導入期、冬眠期いずれの時期においても回復が認められた。また、冬眠ハムスターは触刺激により覚醒するが、抗TRH抗体の側脳室内前投与で触刺激による覚醒は抑制された。以上の結果より、覚醒期の体温上昇は脳内でTRHが遊離され脂肪燃焼を促すことで引き起こることが示唆された。これらの結果から冬眠導入期には中枢アデノシン系が、冬眠時の低体温維持には中枢オピオイド系が、低体温からの熱産生には中枢TRH系が関与していると考えられる。 【冬眠からの覚醒に関与するTRHの脳内作用部位の特定】冬眠からの覚醒時、ハムスターの体温は急速に上昇する。この体温上昇にはTRHが中枢性に関与しており、交感神経の活性化を介して褐色脂肪細胞(BAT)での脂肪代謝の亢進させることによると考えられる。そこで、体温上昇作用に関与する脳内作用部位を脳実質内微量投与法をもちいて検索した。TRHを視索前野(PO)、視床下部前部(AH)、腹内側核(VMH)、背内側核(DMH)に投与するとBATならびに直腸温の有意な上昇が観察された。しかし、視床下部外側野(LH)、視床下部後部(PH)への投与では体温上昇作用は観察されなかった。以上の結果は、冬眠覚醒時の体温上昇時にはTRHがPO、AH、VMH、DMHへ作用し、交感神経を介してBATでの脂肪燃焼を亢進させることを示唆している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shintani, M., Tamura, Y., Yokoyama, M., Monden, M., Makamura, A., Shiomi, H.: "Central sites of thyrotropin-releasing hormone (TRH) action for elevation of body temperature in arousal stage of hibernating hamster."Journal of Pharmacological Sciences. 94,Suppl.I. 226 (2004)