Research Abstract |
本研究では,小Maf群因子の巨核球における機能解析と,小Maf群因子に収斂する上流のシグナル因子,そしてその標的遺伝子の同定を通して,PPFを支える分子機構の理解を試みることを目的とした. (1)巨核球におけるMafG分子の機能・構造連関解析 骨髄細胞においてMafGにはSUMO-2による翻訳後修飾がおこることを発見したことから,MafG分子の機能におけるSUMO化の意義を明らかにするために,SUMO化がおこらないMafG変異分子MafG K14Rの機能を,MafG欠損マウスとトランスジェニックマウスをくみあわせたトランスジェニック相補レスキュー法により検討した.その結果,野生型MafGは,その存在量に応じて転写を正負両方向に制御することが可能であるのに対して,MafG K14Rは,転写の活性化には働くことができるものの,抑制することができないことが明らかになった.またMafGとMafG K14Rとでは,核内の局在が異なることが明らかになり,SUMO化修飾により局在の変化を起こすことが,両方向性転写因子としてのMafGの機能の基盤をなしていることが示唆された. (2)新規分子クローン325の過剰発現マウスと遺伝子破壊マウスの作製と解析 MafG/NF-E2 p45の下流で機能すると考えられる新規分子クローン325は,より直接的なPPF制御因子であることが期待される.同因子の遺伝子破壊マウスを作成し,その巨核球をしらべたところ,完全な胞体突起形成をおこすことができる巨核球の割合が顕著に減少していることが明らかになった.これにより,クローン325は,胞体突起形成に重要な機能を果たしていることが示唆された.
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