2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15590252
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
赤木 玲子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (50150967)
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Keywords | ヘム代謝 / 再生肝 / 老化 |
Research Abstract |
マウスを用いて、肝再生時におけるヘム代謝について検討した。部分肝切除後6時間以内に、再生肝では特異的に、ヘム分解系律速酵素ヘムオキシゲナーゼ(HO)の誘導型アイソザイムであるHO-1が転写レベルで著明に誘導されていたのみならず、HO活性の上昇も認められた。それとは逆に、ヘム分解系第二酵素であるビリベルジンレダクターゼ(BVR)活性は再生肝においてはむしろ有意に低下していた。HOとBVR各々の反応生成物であるビリベルジン(BV)とビリルビン(BR)含量をHPLCを用いて定量したところ、BRのみならず、正常組織では検出限界以下であるBVが認められ、両酵素が機能していることが示唆された。一方、老化促進モデルマウス(SAM)を用いて、同様な部分肝切除を行ったところ、肝重量の回復が遅延化していた。この現象がHO阻害剤を投与した正常マウスでも認められたことから、老化とヘム分解活性との相関性が示唆された。SAMにおいてはHO、BVRともに正常マウスと同様な動態を示したが、BV、BR量はともに肝再生時においても検出限界以下であった。このことは、再生肝ではHO反応生成物であるBVもしくはBRが肝細胞の増殖に必要な因子である可能性を示唆しているる。また、SAMにおいてBV、BR量が有意に低下していることの原因を追究する目的で、HO反応の基質であるヘム含量を正常マウスとSAMの各々において検討したところ、ヘム合成の終結するミトコンドリアにおいては両種間に有意差は認められなかったが、ミクロソームにおいてはSAMは有意に低値であった。更に、部分肝切除により正常マウスのミクロソームヘム含量は低下したが、SAMでは変化しなかったことから、SAMではHOの基質であるヘム供給が損なわれており、その結果、肝再生に必要なBV、BRが生成されないことが原因で、肝臓重量の回復が遅延化している可能性が考えられる。
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[Publications] S.Takahashi: "CYP2E1 overexpression up-regulates both non-specific δ-aminolevulinate synthase and heme oxygenase-1 in the human hepatoma cell line HLE/2E1"International Journal of Molecular Medicine. 11. 57-62 (2003)
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[Publications] K.Nakahira: "Protective role of heme oxygenase-1 induction in carbon tetrachloride-induced hepatotoxicity"Biochemical Pharmacology. 66. 1091-1105 (2003)
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[Publications] K.Maeshima: "A protective role of interleukin 11 on hepatic injury in acute endotoxemia"SHOCK. 21. 134-138 (2004)
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[Publications] R.Akagi: "The Senescence-Accelerated Mouse (SAM)"ELSEVIER B.V.. 4 (2004)