2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷依存的姉妹染色分体早期分離の、p53結合蛋白質1による抑制機構の解析
Project/Area Number |
15590255
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Research Institution | KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (10232696)
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Keywords | 分子生物学 / 細胞周期 / 姉妹染色分体 / DNA損傷修復 / p53 / 53BP1 / ダイニン / ATM |
Research Abstract |
p53結合蛋白質1(53BP1)は、DNA二重鎖切断が形成されると切断部位に集積し、免疫染色法で確認可能な核内のfocus(dot)を形成することから、DNA損傷の修復、またはDNA損傷チェックポイントに関与するものと考えられている。53BP1について、以下の研究実績を得た。 1.大腸癌細胞株SW48が53BP1を発現していないことを見出し、SW48細胞に53BP1を発現させた細胞株を樹立した。 (1)X線照射後のSW48細胞をコルセミド処理すると、metaphaseに停止しているにも関わらず姉妹染色分体が分離する、いわゆる姉妹染色分体早期分離が高率にみられた。 (2)この姉妹染色分体早期分離はDNA損傷依存性で、さらに53BP1を発現させると完全に抑制された。 2.酵母two-hybrid systemを用いて、53BP1がモーター蛋白であるCytoplasmic dynein, light chain(CDL)と結合すること見出した。CDLの16番目のトレオニン残基は、DNA損傷チェックポイントにおいて中心的な役割を果たしているリン酸化酵素ATMにより、in vitroでリン酸化された。 3.細胞へのX線照射後、53BP1はクロマチンに結合した。クロマチン結合に必要な領域(1052〜1709残基)からなるポリペプチドは、in vitroでDNAに結合し、さらにDNA損傷修復に直接関与するLigase IVの酵素活性を高めた。 以上より53BP1は、DNA損傷修復、および有糸分裂期のDNA損傷チェックポイントに関与することが示唆された。
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