2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造に基づくヘムオキシゲナーゼによるヘム分解機構の検討
Project/Area Number |
15590260
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Research Institution | Kurume University school of Medicine |
Principal Investigator |
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 講師 (40352124)
坂本 寛 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70309748)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / 有機化学 / 生体分子 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は,基質であるヘムが自触的にO_2を活性化し3段階の酸素添加反応(ヘム→α-ヒドロキシヘム→ベルドヘム→ビリベルジン)によってヘムを開環しビリベルジン・Fe・COを生成する。我々は,平成17年度,HO反応について次の2点を明らかにした。(1)シトクロムP450還元酵素(CPR)からの電子伝達経路を探るためにFMN欠失CPRを作成し,HOによるヘムおよびベルドヘムの分解を比較検討した。FMN欠失CPRは,ヘムからの分解を全くサポートしなかったが,ベルドヘムはビリベルジン鉄キレートまで分解された。このことから,HO反応の最初の電子はFMNから供給されるが,ベルドヘムのビリベルジン鉄キレートへの転換反応には,FADあるいはNADPHから直接電子が供給されうるという,dual electron pathwayの存在が示唆された。(2)酸化型および還元型α-ヒドロキシヘムの分解反応のO_2依存性をストップトフローで検討した。酸化型α-ヒドロキシヘムは,中性pH(pH7.4)では,O_2と4x10^5 M^<-1>s^<-1>の速度常数で反応した。pH6.5では速度常数が2.8x10^5 M^<-1>s^<-1>に下がるので,酸化型では,π-neutral radical型が直接O_2の攻撃を受けるものと考えられた。還元型α-ヒドロキシヘムの反応では,還元型のベルドヘムが生成されたが,その反応は815nmに吸収を示す新しい中間体が関与する2相性反応であった。この2段階反応の速度常数はそれぞれ68と145s^<-1>であった。この結果は,α-ヒドロキシヘムのベルドヘムへの転換反応が,α-ヒドロキシヘムの還元速度よりもはるかに速いことを考慮すると,生体内では,酸化型α-ヒドロキシヘムが還元されるのに先んじて,酸化型α-ヒドロキシヘムがベルドヘムに分解されているものと考えられた。
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Research Products
(6 results)