2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂質メディエーターの過酸化を介する神経系細胞死誘導機構の解明
Project/Area Number |
15590268
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
樋口 善博 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (10019630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 尚 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (40210009)
谷井 秀治 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (90110618)
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Keywords | 紫外線 / アポトーシス / 巨大DNA断片化 / 酸素フリーラジカル / ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ / アラキドン酸 / 8-ヒドロキシグアノシン / ATP |
Research Abstract |
脂質メディエーターであるアラキドン酸またはその過酸化物が、紫外線による細胞死誘導においてどのような役割をしているかを、グリア細胞のグルタチオン(GSH)枯渇による細胞死誘導の過程で観察された染色体DNAの断片化と、特定の細胞内生理活性物質の変動を調べ、比較検討した。 50J/m^2の致死量の紫外線照射によってT24ヒト膀胱癌細胞は、初期段階で1-2Mbpの巨大DNA断片化を伴うDNA損傷が起き、カスパーゼ-3の活性化,終期段階でのヌクレオソームDNA断片化が見られ、紫外線照射によるその細胞死はアポトーシスのようであった。染色体DNAは細胞内活性酸素OHラジカルによってグアニン塩基が水酸化反応を受け、8-ヒドロキシグアノシン(8-OH-dG)を産生するが、しかしながら紫外線照射によっては8-OH-dGにみられる酸化反応は起きなかった。巨大DNA断片化と酸素ラジカルとの相関性はないと推察された。また一方、紫外線照射によって細胞内NADが減少し、致死量の紫外線照射ではポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ酵素活性は減少したが,NADが関与するDNA損傷の修復機構が初期段階に働いていたと考えられた。さらに、この紫外線照射による細胞死の過程でグルタチオンとATPの減少が認められた。アラキドン酸を紫外線照射後に加えると、DNA断片化は増進し8-OH-dGが増加しただけでなくGSHおよびATPの減少が加速した。 以上の結果から紫外線照射による細胞死はアポトーシスと考えられ,アラキドン酸はDNA断片化を増長させながら紫外線照射による細胞死を促進し、アラキドン酸でその細胞死の一部はATPの枯渇を伴うネクローシスとなったと示唆された。
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Research Products
(2 results)