2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチの病態形成におけるミッドカインの役割
Project/Area Number |
15590270
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村松 壽子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50182134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門松 健治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80204519)
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Keywords | ミッドカイン / 慢性関節リウマチ / ノックアウトマウス / 関節炎モデル / マクロファージ / 破骨細胞 |
Research Abstract |
近年、成長分化因子ミッドカイン(MK)が、組織障害時の炎症および修復にも関与することが示され注目されている。今回の研究は、慢性炎症疾患である関節リウマチ(RA)におけるMKの関与について検討した。 RA患者70例の膝関節液と130例の血清、変形性膝関節症(OA)患者18例の膝関節液中のMK値をELISA法にて測定した。RA患者の膝関節液中のMK値は、OA患者に比べ85.4%が高値を示した。また、RA患者における血清MK値は健常者に比べて91.6%が高値を示した。関節液、血清中のMK値は,リウマチ因子と強い相関関係を示した。また、抗II型コラーゲン抗体誘発性関節炎モデルを用い、MKノックアウトマウス(Mdk-/-)、野生型マウス(WT)における関節炎発症を調べたところ、WTではMdk-/-に比べて有意に関節炎の発症率が高かった。さらに、MKもしくはBSAを持続投与したMdk-/-について検討したところ、MK投与群は、BSA投与群に比べ関節炎の発症率が有意に高かった。関節炎モデルマウスにおけるマクロファージ、好中球の浸潤を免疫染色にて検討すると、WTではMdk-/-に比べて、いずれの炎症細胞の滑膜浸潤も増強を認めた。次にRA患者の手術検体から得た滑膜細胞、マウスの骨髄細胞から各々マクロファージを単離し、MKと破骨細胞分化因子(RANKL)を加えて培養し、破骨細胞の分化誘導についてM-CSFと比較検討した。RA患者、マウスいずれの細胞においても、MKとRANKLを加えると破骨細胞分化が誘導された。MKによる誘導の強さはM-CSFと同程度を示し、MK、M-CSFは相乗効果を認めた。 本研究の結果から、MKは、RAの病態形成において、炎症細胞の誘導、破骨細胞の分化誘導という2局面において深く関与していると考えられる。また、MKがRAのマーカーとしても有用であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakaguchi, N.: "Receptor-type protein tyrosine phosphatase z as a component of the signaling receptor complex for midkine-dependent survival of embryonic neurons"Neurosci.Res.. 45. 219-224 (2003)
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[Publications] Maruyama, K.: "Midkine a heparin-binding growth factor, is fundermentally involved in pathologenesis of Rheumatoid Arthitis"Arthritis Rheum.. (印刷中).
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[Publications] Ino, K.: "Midkine, a heparin binding cytokine play key roles in intraperitoneal adhesions"Biochem.Biophys.Res.Commun.. (印刷中).
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[Publications] Muramatsu, T.: "Recognition of glycosaminoglycans by midkine"Methods Enzymol.. 363. 365-376 (2003)