2004 Fiscal Year Annual Research Report
傷害臓器特異的c-Met、HGF受容体活性化の分子機構
Project/Area Number |
15590272
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
町出 充 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90346198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 敏一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00049397)
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Keywords | HGF(肝細胞増殖因子) / c-Met / 組織恒常性 / juxtamembrane領域 / チロシンフォスファターゼ |
Research Abstract |
HGF(肝細胞増殖因子)は傷害組織に対する内因性の修復因子として機能する反面、癌細胞の増殖、浸潤、転移の各ステップの促進因子となる。しかし健常組織では受容体であるc-Metチロシンキナーゼが発現していても組織の恒常性が失われることはない。すなわち細胞の状態や環境により、HGFの作用発現は厳密に制御されているのである。本研究では、細胞が内因的に備えているHGFの作用発現にたいする制御機構として、1)c-Met juxtamembrane領域にある985番目のセリン残基(Ser985)のリン酸化修飾を介したc-Met活性化抑制機構の生理的意義、2)HGFの細胞増殖促進作用に対する細胞接着を介した制御機構、以上2件について解析した。それぞれの結果として、I)株化ヒト肺癌細胞において過酸化水素による酸化ストレス下により、PKCの活性化を介してc-Met上のSer985がリン酸化されc-Metのチロシン自己リン酸化が抑制されることにより、HGFによる細胞増殖、細胞遊走促進作用が抑制されること(J.Biol.Chem、2004,Vol.279にて発表)、II)初代培養肝細胞を用いた解析より、高細胞密度の培養では、c-Metのチロシン自己リン酸化の持続がチロシンフォスファターゼLARの発現を介して抑制され、HGFによる細胞増殖が起こらないこと(日本生化学会大会2003、2004年、日本癌学会学術総会2004年にて発表、投稿準備中、)以上について明らかにした。これらの結果はHGFが傷害修復作用を発現したり癌細胞にたいして悪性化の促進因子となるには、正常細胞において機能しているc-Met活性化にたいする抑制機構の解除・破綻を伴っていることを示しており、同時に免疫系、アポトーシス以外の癌抑制機構の存在を示す重要な実証例でもある。
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Research Products
(7 results)