2004 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌の発生・進展に関連した遺伝子多型による早期癌の浸潤局所における間質反応の相違
Project/Area Number |
15590303
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中山 宏文 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50253068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 弥 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40191118)
|
Keywords | 胃癌 / 早期胃癌 / 遺伝子多型 / 癌辺縁部 / 分化度 / MMP9 / DR4 / 組織型 |
Research Abstract |
胃癌の増殖進展に関与するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)のうち、特にIV型コラーゲンを特異的に分解するMMP-9の遺伝子において、プロモーター領域にシトシン(C)がチミン(T)となることにより、MMP-9遺伝子の転写活性が上昇する一塩基多型(SNP)が同定されている。そこで、胃癌177症例と健常対照症例224症例において、MMP-9遺伝子のプロモーター領域における一塩基多型の有無をPCR-RFLP法で検討したところ、遺伝子型C/C、C/T、T/Tの遺伝子型の分布は胃癌症例では、各々133(75.1%)例、38(21.5%)例、6(3.4%)例、対照群は156(69.7%)例、63(28.1%)例、5(2.2%)例で、より深い進達度を示す症例、リンパ節転移を伴う症例、より進んだ病期にある症例、および分化の低い症例ではC/T, T/T遺伝子型が統計学的に有意に多かった。次に、早期胃癌辺縁部の性状とMMP-9遺伝子のプロモーター領域における一塩基多型の相関性の有無を検討した。早期胃癌77症例のうち、腫瘍境界部を組織学的に評価したところ、辺縁明瞭、すなわち平滑な癌が61症例で、辺縁不明瞭すなわち、辺縁が平滑でない症例が16症例であった。辺縁明瞭な癌61症例のうち、C/Cが49(80%)症例で、C/TまたはT/Tが12(20%)症例で、辺縁不明瞭な16症例のうち、C/Cが13(81%)症例、C/TまたはT/Tが4(19%)症例であった。今回の検討では早期胃癌辺縁部の明瞭度とSNPの間に有意な相関性はみられなかった。 アポトーシスに関連する膜蛋白をコードするDR4(Death Receptor 4)遺伝子の細胞外ドメインには、シトシン(C)がクアニン(G)となることにより、スレオニン(Thr)からアルギニン(Arg)へのアミノ酸置換を伴うSNPが同定されている。そこで、胃癌274症例と健常対照症例344症例において、DR4遺伝子のSNPの有無をPCR-RFLP法で検討したところ、遺伝子型Thr/Thr(C/C)、Thr/Arg(C/G)、Arg/Arg(G/G)の遺伝子型の分布は胃癌症例では、各々250(91.2%)例、23(8.4%)例、1(0.4%)例、対照群は317(92.2%)例、21(6.1%)例、6(1.7%)例で、深達度、リンパ節転移、および腫瘍進行期のいずれとも有意な相関が認められず、うち早期癌103例において組織型別に有意差はなかった。
|
Research Products
(6 results)