2005 Fiscal Year Annual Research Report
悪性骨軟部腫瘍における細胞周期制御遺伝子および蛋白発現の研究
Project/Area Number |
15590304
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小田 義直 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70291515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 貞史 九州大学, 医学部保健学科, 助教授 (60284486)
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Keywords | 悪性末梢神経鞘腫瘍 / p16 / p14 / p53 / メチル化 / CHFR / チェックポイント機能 / 染色体異常 |
Research Abstract |
1)悪性末梢神経鞘腫瘍におけるG1-S細胞周期関連蛋白: 悪性末梢神経鞘腫瘍(以下MPNST)96腫瘍のパラフィン包埋標本について、p16、p14の免疫染色を行った。また凍結標本29例に対し、differential PCRによりp16、p14のhomozygous deletionを、PCR-SSCPによりp16、p14、p53のmutationを、methylation specific PCR(MSP)およびbisulphile sequenceによりp14、p16のプロモーター領域のメチル化の解析をそれぞれ行った。免疫染色の結果、41%においてp16の減弱を認め、45%においてp14の減弱を認めた。differential PCRの結果、5例においてp14、p16のいずれかのexonにおけるhomozygous deletionを認めた。p16、p14、p53いずれにおいてもexon内におけるアミノ酸の変化を伴うmutationは認められなかった。MSPの結果は明らかなメチル化は認められなかった。しかしbisulphite sequenceの結果、4例においてメチル化を確認し、それらはmalignant Triton tumorと有意に相関した。p53のmutationおよびp16、p14のhomozygous deletionの頻度は過去の報告と異なった。 2)悪性末梢神経鞘腫瘍におけるCHFRの異常: 悪性末梢神経鞘腫瘍(以下MPNST)96腫瘍のパラフィン包埋標本についてCHFRの免疫染色を行い、これとMIB-1の免疫染色を含めた各種臨床病理学的事項との関連を解析した。なお対照コントロールとして、隣接正常組織、および良性神経性腫瘍(以下BPNST)を使用した。また同一のパネルより正常組織とともに入手可能であった7例のMPNSTについてReal Time PCRを用いてmRNAの発現を解析した。さらに10例については染色体分析が可能であったので、この結果との相関も解析した。正常組織およびBPNSTではCHFRの発現が認められたが、MPNSTにおいては66%において発現の減弱を認め、それは高い核分裂数(P=0.0023)、高いMIB-1 labeling index(P=0.0064)と有意に相関し、さらに独立予後不良因子(P=0.0016)であった。また、染色体分析において正常な核型を示したMPNSTについては、CHFRは強発現を示していた(P=0.0222)。これらの結果は、CHFRがMPNSTの腫瘍増殖に対する抑制因子であるという仮説を支持するものであり、またCHFRが腫瘍抑制因子(tumor suppressor)であるとするYuらの2005年の報告と一致する。【考察】CHFRの発現が減弱した腫瘍においては、チェックポイント機能不全のために、微小管阻害剤に対しより高い感受性があることが考えられる。さらなる研究は必要だが、CHFRの免疫染色がパクリタキセルのような微小管阻害剤への反応性のマーカーとなる可能性がある。 この結果は欧文誌Modern Pathologyへ投稿し、2005年12月にAcceptされたものである。
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Research Products
(6 results)