2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590316
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 栄二 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30232177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 晋 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10245558)
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 血管新生 / 網膜浮腫 / 低酸素 / 活性酸素種 / VEGF / MT1-MMP / claudin |
Research Abstract |
糖尿病網膜症増殖期の病態を、網膜から硝子体に及ぶ病的血管新生病変形成、血液網膜関門の破綻による網膜浮腫形成の両側面から解析を行ってきた。これまで我々は、病的血管新生病変形成には網膜グリア細胞におけるVEGF_<165>とMT1-MMPの産生誘導が重要であること、これらの因子の発現に組織低酸素状態が誘因として働くことを明らかにしてきた。今年度は、VEGF_<165>とMT1-MMPの誘導に、糖尿病患者の組織において産生が亢進している活性酸素種が関与する可能性につき検討した。家兎から網膜グリア細胞を単離・培養し、培養上清に過酸化水素を添加、VEGF_<165>とMT1-MMPの発現誘導の有無をRT-PCRにて解析した。また、ラット眼球の硝子体腔内に過酸化水素を投与しin vivoにおけるこれら因子の誘導についても検索した。その結果、低酸素刺激とともに活性酸素種刺激も網膜グリア細胞におけるVEGF_<165>とMT1-MMP産生を誘導することが示された。一方、血液網膜関門の破綻機構については、脳血管内皮細胞株bEND.3を用い、低酸素刺激に反応し血管内皮細胞の細胞膜からclaudin-5が消失する現象の重要性を提唱してきた。今年度は、このclaudin-5と関門機能の関係につきさらに詳細に検討した。まずRNAiによるclaudin-5発現阻害系にて、bEND.3細胞層の関門機能がclaudin-5に依存していることを示した。また、低酸素状態で飼育したマウスの網膜血管においても内皮細胞の細胞膜からclaudin-5が消失することが示され、in vitroとともにin vivoにおいても組織低酸素状態がclaudin-5発現変化を介し血液網膜関門を破綻させる機構の重要性が確認された。さらに、この低酸素刺激による関門機能破綻に、p38 MAP kinaseの系が関与することも見出した。
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