2004 Fiscal Year Annual Research Report
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15590327
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
土屋 永寿 神奈川県立がんセンター, 臨床研究所, 研究所長 (00072314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 慎一 東北大学, 医学部, 教授 (60144862)
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Keywords | 肺癌 / 非小細胞肺がん / 扁平上皮癌 / 腺癌 / 悪性度 / 発がん機序 / p53遺伝子 / マイクロダイセクション |
Research Abstract |
日本において肺がんは最も発生率、死亡率の高いがんの一つである。P53遺伝子は変異の種類から発がん機序(原因)の推測が可能であり、CpG部位のG→A変異(CpG→A)は内因、G→T変異(G→T)はタバコ煙中の発がん物質により生じる、考えられており、また悪性度とも関連している。このため、1989-95年に肺切除された非小細胞肺癌のp53遺伝子変異を解析し、発がん機序(原因)及び悪性度を明らかにして、肺がんの予防、早期発見、治療法の改善に貢献することを目的として研究を行なっている。 今年度は、1)昨年度に引き続いて、凍結保存材料を薄切後マイクロダイセクションでDNAを抽出し、エクソン4-8、10の変異をPCR-SSCP法およびダイレクトシーケンス法により検索し、扁平上皮癌の全例、腺癌は全例の3/4の解析を終了した。 2)解析を終了した扁平上皮癌74例で、発生部位を肺門、中間、末梢に分類し、喫煙量は一日の喫煙本数x喫煙年数が400以下(軽喫煙者)と以上(重喫煙者)に分け、発生部位別発がん機序(原因)の相違を検討した。その結果、各変異が占める率を部位別に比較すると、CpG→Aは肺門で40%と最も高く、中間(0%)とは有意に異なり、G→Tは中間で最も高く(50%)、末梢(19%)より有意に高い傾向が、その他の変異は末梢で最も高く(67%)、肺門(33%)とは有意差を認めた。一方、重喫煙者の率は中間で最も低く(65%)、肺門(96%)や末梢(90%)と有意差を認めた。 即ち、肺扁平上皮癌は発生部位により発がん機序(原因)が異なり、肺門型では重喫煙者が多いにもかかわらず従来の説とは異なり内因により、中間型では同じく従来の説とは異なり喫煙量が少ないにもかかわらず喫煙が原因で、末梢型では想像されていたように様々な原因で、発生した癌の割合が高かった。
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Research Products
(4 results)