2003 Fiscal Year Annual Research Report
各種癌における高頻度5p13増幅の標的遺伝子SKP2による癌細胞増殖と細胞死制御
Project/Area Number |
15590332
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
安居 幸一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30323695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
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Keywords | 癌 / SKP2 / 細胞増殖 / p27 / アポトーシス |
Research Abstract |
浸潤や転移あるいは薬剤耐性といった癌の特性に関わる遺伝子異常を解明するために、われわれはCGH(comparative genomic hybridization)法による癌ゲノム解析を推進してきた。CGH法は、複雑な染色体異常を呈する固形腫瘍でも、全染色体を鳥瞰して、染色体の特定領域の欠失・過剰、とりわけ新しい遺伝子増幅領域を探索することができる。 最近、極めて予後不良であることが知られている肺小細胞癌において、第5番染色体短腕5p13に高頻度に遺伝子増幅を検出し、その標的のひとつがSKP2遺伝子であることを明らかにした。SKP2はSCFユビキチン・リガーゼ複合体の基質認識を担う分子であり、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)・インヒビターであるp27を分解して細胞周期G1/S期移行を正に制御する。従って、SKP2が増幅・過剰発現することは、p27の分解を促進し、細胞周期の進行を加速させることで癌細胞の増殖に関与すると推定される。実際われわれは、アンチセンス法でSKP2の発現量を抑制すると、肺小細胞癌および非小細胞肺癌由来の細胞の増殖が抑制されることを明らかにした。 次いで、SKP2アンチセンスにより癌細胞の増殖が抑制される機序の解明を行った。SKP2アンチセンス処理により肺癌細胞における^3H-チミジンの取り込みが低下する、すなわちDNA合成が抑制されることが判明した。さらに、アンチセンス処理した肺癌細胞では、核の断片化、sub-G1分画の増加、caspase-3の活性化といったアポトーシスを示す現象が引き起こされることを始めて見出した。これらの結果から、アンチセンス法によるSKP2の発現抑制により、DNA合成が抑制されるだけでなくアポトーシスが誘導されて肺癌細胞の増殖が抑制されることが示唆された。以上から、肺癌あるいは同様にSKP2を過剰発現しているその他の癌において、SKP2が新たな癌治療の標的分子になり得ると期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sana Yokoi: "Down-regulation of SKP2 induces apoptosis in lung-cancer cells."Cancer Science. 94・4. 344-349 (2003)
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[Publications] Kohichiroh Yasui: "Association of over-expressed TFDP1 with progression of hepatocellular carcinomas"Journal of Human Genetics. 48・12. 609-613 (2003)
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[Publications] Sana Yokoi: "TERC identified as a probable target within the 3q26 amplicon that is detected frequently in non-small cell lung cancers."Clinical Cancer Research. 9・13. 4705-4713 (2003)
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[Publications] Hiroyuki Okamoto: "PTK2 and EIF3S3 genes may be amplification targets at 8q23-q24 and are associated with large hepatocellular carcinomas."Hepatology. 38・5. 1242-1249 (2003)
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[Publications] Chen Zhao: "Elevated expression levels of NCOA3,TOP1,and TFAP2C in breast tumors as predictors of poor prognosis"Cancer. 98・1. 18-23 (2003)