2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590344
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Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
林 眞一 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 教授 (50208617)
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Keywords | 骨髄 / 血液細胞 / 破骨細胞 / B細胞 / Toll-like受容体 / リポポリサッカライド(LPS) / チロシン脱リン酸化酵素 / 胚性幹細胞 |
Research Abstract |
1)骨髄形成のための破骨細胞分化機構の解析: 造血を支持する環境を骨髄内に構築するためには、血液細胞系譜の一つ、破骨細胞による骨吸収が必須である。破骨細胞とB細胞系譜には共通の分化シグナル系が存在し、破骨細胞分化因子(RANKL)が欠損すると、破骨細胞のみならずB細胞も欠損する。今回、B細胞のマイトーゲンとして知られるリポポリサッカライド(LPS)のToll-like受容体からのシグナルが破骨細胞の分化誘導を行うことを示した。チロシン脱リン酸化酵素SHP-1の欠損me^v/me^vマウスの骨髄細胞をM-CSFとLPS共に培養すると骨吸収能を有する破骨細胞が誘導できた。正常骨髄にはほとんど存在しなかったが、Kit陽性細胞を濃縮することで正常マウスにも存在することも示した。SHP-1活性の低下状態が生じると細菌成分のLPSによっても破骨細胞が誘導されることを明らかにした。 2)血液細胞系譜分化完全欠損胚性幹(ES)細胞からの血液細胞分化誘導: 血液幹細胞から各細胞系譜の分化誘導機構を検討し、骨髄内の造血環境を理解するためは各細胞系譜がそれぞれ単一細胞系譜のみ分化誘導可能なシステムが必要である。そのため、Tall遺伝子破壊ES細胞株からテトラサイクリンでPU.1の発現が制御できる細胞株を作成した。人為的にPU.1の発現を誘導すると、効率はまだ完全ではないが、成熟破骨細胞が出現した。マクロファージ様の貪食細胞も誘導できたが、それ以外のB細胞、顆粒球、赤血球、巨核球などの細胞系譜は全く出現しなかった。このことは転写因子Tal-1は血液細胞のマスター遺伝子と考えられていたが、破骨細胞にとってはPU.1の発現を誘導するだけの機能でよいことが明らかになった。また、単球系のみを分化誘導できるシステムも完成した。 以上、造血環境と血液分化機構の解析に必要な情報が得られ、システムを着実に成就してきた。
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Research Products
(15 results)