2003 Fiscal Year Annual Research Report
走化因子ヒトS19リボソーム変異蛋白質によるアポトーシス機構の制御
Project/Area Number |
15590350
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西浦 弘志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (90284760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 峰太郎 熊本大学, 発生医学センター, 教授 (70194454)
渋谷 陽子 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70094018)
棚瀬 純男 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20112401)
荒木 喜美 熊本大学, 発生医学センター, 助教授 (90211705)
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Keywords | S19リボソーム蛋白 / マウス胚性幹細胞 / アポトーシス / 補体C5aレセプター / JAK-STAT |
Research Abstract |
平成15年度の計画は、ヘモアグルチニンで標識したヒトS19リボソーム蛋白(RP S19)cDNAを組み込んだ過剰発現ベクターpCAGGSを持つマウス胚性幹細胞を樹立し、アポトーシス誘導過程でのRP S19の動態を検索することが目的であった。 前準備段階として、マウスNIH3T3細胞を用いて、正常RP S19と変異Q137N RP S19を持つ株を樹立した。樹立株を用いて、マンガン誘導性アポトーシスにおけるRP S19とQ137N RP S19の挙動を観察すると、大変興味深い現象を確認した。 (1)RP S19が過剰発現する株は、アポトーシスに対する感受性が上昇した。一方、RP S19 2量体が産生できない変異株は、アポトーシスに対して耐性を獲得した。 (2)アポトーシス誘導時の細胞上製よりRP S192量体の存在をウエスタンブロティング法にて確認し、その受容体である補体C5aレセプターの発現も免疫組織学的手法およびFACSにて細胞膜上で観察出来た。 (3)上記の現象は、抗体を用いた抑制実験より、RP S192量体の受容体補体C5aレセプターの関与が強く示唆された。以上の事より、マンガン誘導性のアポトーシスには、RP S192量体刺激による補体C5aレセプター依りの新たなアポトーシスシグナルが関与すると示唆した。 上記の現象におけるアポトーシスシグナルの検索を目的に、RT-PCR法を用いて、JAK-STAT経路のシグナルを解析した。 (1)STAT5-Bcl-xL、およびJAK1-STAT1経路の関与が示唆された。 以上の事より、ヘモアグルチニンで標識したヒトRP S19は、マウス作成において為外性がない事を確認出来た事に留まらず、新たなRP S19の働きをも発見出来たので、今後の計画を継続する事は大変意義深い結果を得る事が出来ると予想している。
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