2003 Fiscal Year Annual Research Report
正常上皮性細胞への効率の良い遺伝子導入システムの確立とそのがん研究への応用
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15590358
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
赤城 剛 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子腫瘍学部門, 研究副部長 (90184077)
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Keywords | ヒト正常上皮細胞 / レトロウイルスベクター / 不死化 / 癌化 / テロメラーゼ / ヒト正常表皮角化細胞 |
Research Abstract |
1.ヒト正常上皮性細胞へのレトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入の至適条件の検討。 市販されている正常ヒト表皮角化細胞を用いて、マウス白血病ウイルスをベースとしたレトロウイィルスベクターによる遺伝子導入の至適条件を検討した。その結果、Cascade社から市販されている上皮細胞用の低カルシウム無血清の合成培地EpiLifeで培養した比較的継代数の若い細胞(passage 5回以内)を用いれば、我々の開発したベクターシステムを使うことによって非常に高い効率(70-80%)で遺伝子導入できることが分かった。 2.エコロピックレトロウイルスに対するレセプターを発現するヒト正常上皮性細胞の作成。 上記で,確立した条件により正常ヒト表皮角化細胞ならびに正常ヒト気管支上皮細胞にエコトロピックレトロウイルスに対するレセプター遺伝子を導入した。この様にして得られた細胞は、本来、宿主域が齧歯類に限られたエコトロピックレトロウイルスに高い感受性を持ち、遺伝子導入効率の観点からも、またバイオハザードの観点からも極めて優れたシステムができた。 3.ヒト正常上皮性細胞への癌遺伝子導入。 上記のシスチムを用いてテロメラーゼの触媒サブユニットとCdk4および変異型p53を組み合わせて導入することによって正常ヒト表皮角化細胞を不死化させることに成功した。さらにc-myc,Bmi-1,SV40T抗原、アデノウイルスのE1Aなどヒト正常上皮性細胞の寿命を延長することが知られている遺伝子を導入したヒト表皮角化細胞の作成にも成功しており,これらの細胞にさらに優性な癌遺伝子(活性化型のRas等)を導入し、どのような変化が細胞におこるのか?果たして癌化形質を得るのかどうか?に付いて現在,検討を進めている。
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[Publications] Akagi, T., Sasai, K., Hanafusa, H.: "Refrectory nature of normal human diploid fibroblasts with respect to oncogene-mediated transformation."Proc.Nati.Acad.Sci.USA. 100・23. 13567-13572 (2003)
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[Publications] Iwahara, T., Akagi, T., Shishido, T.Hanafusa, H.: "CrkI1 induces serum response factor activation and cellular transformation through its function in Rho activation."Oncogene. 22・38. 5946-5957 (2003)
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[Publications] Radu, A., Neuhauer, V., Akagi, T., Hanafusa, H., Georgescu M.M.: "PTEN induces cell, cycle arrest by decreasing the level and nuclear localization of cyclin D1."Mol.Cell.Biol.. 23・17. 6139-6149 (2003)