2004 Fiscal Year Annual Research Report
寄生性線虫を用いた線形動物のミトコンドリア蛋白質合成系の解析
Project/Area Number |
15590365
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 洋一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90323568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 高史 岡山大学, 工学部, 講師 (80321735)
北 潔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90134444)
神谷 晴夫 弘前大学, 医学部, 教授 (70002079)
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Keywords | 線形動物 / ミトコンドリア / タンパク質合成 / tRNA / EF-Tu / Caenorhabditis elegans / Trichinella britovi |
Research Abstract |
線形動物のミトコンドリア(mt)には、他の多細胞動物mtにも存在するDアームのないtRNAに加え、TアームのないtRNAも存在する。一方、翻訳伸長因子EF-Tuは、バクテリアではアミノアシルtRNAとの結合に、tRNAのTアームを要求する。我々は、線形動物ミトコンドリアのEF-TuがTアームのないtRNAとどうして結合できるのかを明らかにするため、各種の線形動物のEF-TuのcDNAをクローニングした。その結果、これらの線形動物は2種の異なるEF-Tuを持ち、これらは、バクテリアのEF-Tuと比べて、それぞれ40ないし60アミノ酸のC末端延長を持つEF-Tu1と約15アミノ酸のC末端延長を持つEF-Tu2の2つのグループに分類できた。Caenorhabditis elegansおよびTrichinella britoviのEF-Tuの各種のtRNAに対する結合能を解析したところ、EF-Tu1はTアームのないtRNAに、EF-Tn2はDアームのないtRNAにそれぞれ結合した。また、C.elegansの2種のEF-TuおよびT.britoviのEF-Tu2はクローバーリーフ型二次構造を形成できる通常のtRNAとは結合できなかったのに対して、T.britovi EF-Tu1は通常のtRNAとも結合出来た。このことは、C.elegansのmtには通常型のtRNAが存在しないのに対して、T.britoviのmtには通常型のtRNAが存在する事と、よく対応していた。また、C.elegansのEF-TuはC末端延長をわずか10数アミノ酸残基失っただけで、tRNAの結合能を失う事が分かった。以上の結果より、線形動物ミトコンドリアでは、EF-Tuの遺伝子重複とEF-TuのC末端延長による新たなtRNA結合領域の獲得により、tRNAの大きな短縮化に対応している事が分かった。
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Research Products
(4 results)