2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590372
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
丸山 治彦 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90229625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 高史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70305530)
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Keywords | 消化管線虫 / 食道腺 / 体内移行 / 接着タンパク / プロテアーゼ / 粘膜 / 発育 / 発現調節 |
Research Abstract |
ヴェネズエラ糞線虫は、幼虫は結合織を体内移行し、肺を経て成虫は小腸粘膜に寄生する。このような寄生部位の違いは、食道線に発現しているタンパクの違いと密接に関係していると思われる。そこで、まず宿主体内での発育・寄生行動と食道線タンパク質との関係を明らかにした。感染幼虫(infective larvae ; IL)と、感染75時間後に肺から回収した虫体(lung larvae ; LL)、85時間後に小腸粘膜から回収した虫体(mucosal young worms ; MYW)を皮下注射、経口、および外科的十二指腸移入の方法で感染させたところ、ILは皮下注射のみで感染可能であり、反対にMYWは経口・十二指腸移入では感染が成立したが皮下注射では感染できなかった。LLではいずれの方法でもある程度の感染が成立した。つまりヴェネズエラ糞線虫は肺に至ってから皮下結合織を進む能力を失い、粘膜寄生の能力を獲得することがわかった。そこで粘膜寄生に必要であることかわかっている食道線接着タンパクの発現をELISA、ウェスタンブロッティングおよび免疫組織染色でしらべたところ、ILや結合織を移行している幼虫は接着物質は産生していなかったが、LLの少なくとも一部はすでに食道線接着タンパクを発現していた。反対に、結合織を進むために必要と考えられるマトリックスメタロプロテアーゼ活性はILには存在したが、MYWおよび成虫ではまったく検出されなかった。興味深いことに、LLではILと種類の違う非常に強力なプロテアーゼを発現していた。以上より、寄生能力が結合織寄生から粘膜寄生へ変化するのにともなって、食道線における発現タンパクがメタロプロテアーゼから接着物質へと移行することがあきらかとなり、さらに肺においてはおそらく血流から気道へ移行する際に必要であると考えられる特別なプロテアーゼが産生されることが認識された。
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