2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビブリオブルニフィカスにおける鉄獲得系発現に関与する転写因子の作用機構の解析
Project/Area Number |
15590386
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中尾 浩史 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20237217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 重雄 岡山大学, 薬学部, 教授 (40033229)
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Keywords | ビブリオブニフィカス / 鉄 / 転写調節 |
Research Abstract |
細菌の宿主生体内での増殖を決定する重要な因子はそれらの有する鉄獲得機能である。ビブリオブルニフィカスは鉄獲得系として内因性シデロフォア(金属輸送キレーター)であるバルニバクチンの他に、外因性のシデロフォアであるエロバクチン、デスフェラールの利用性を有している。しかし、外因性シデロフォアによる鉄獲得系については明らかではない。我々は、エロバクチンによる鉄獲得には外膜上の受容体IutAをクローニングし、その上流にGntRファミリー類似の転写制御因子と予想されるIutRが存在していることを既に明らかにしている。今年度はiutR破壊株を作成し、その発現機構の解析を行った。鉄欠乏条件でエロバクチンを添加したときのみ野生株ではIutAの産生が誘導されたが、破壊株では常にIutAが産生されていた。また、RT-PCR法によりiutRはconstitutiveに発現していることが明らかになった。以上の結果は、IutRは鉄豊富下ではiutAの転写抑制因子として機能しているが、鉄欠乏下に誘導物質エロバクチン(+鉄?)と結合することにより、そのDNA結合が解かれ、iutAの転写が開始するという我々の仮説を裏付けるものである。現在、さらに詳細な機構解明を行っている。これらの結果については現在投稿準備中である。 シデロフォアによる鉄獲得には外膜上の受容体IutAに加え、内膜における輸送系が必要とされる。iutRの上流に、他菌で鉄-シデロフォア内膜輸送系として報告されているfhuCDBに類似したオペロンがFur boxに続いて存在していることを見いだした。これらがエロバクチン輸送に関与していることが考えられたため、fhuD破壊株を作成した。fhuD破壊株ではエロバクチン、デスフェラール利用能が失われていることから、FhuCDBがエロバクチン及びデスフェラールの内膜輸送系であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Funahashi, T., Tanabe, T., Aso, H., Nakao, H., Fujii, Y, Okamoto, K., Narimatsu S., Yamamoto, S.: "An iron-regulated gene required for utilization of aerobactin as an exogenous siderophore in Vibrio parahaemolyticus"Microbiology. 149. 289-297 (2003)
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[Publications] Tanabe, T., Funahashi, T., Nakao, H., Miyoshi, S., Shinoda, S., Yamamoto, S.: "Identification of genes required for biosynthesis and transport of the siderophore Vibrioferrin in Vibrio parahaemolyticus"Journal of Bacteriology. 185. 6938-6949 (2003)