2004 Fiscal Year Annual Research Report
Non‐01コレラ菌の組織侵入、敗血症増悪メカニズム
| Project/Area Number |
15590392
|
|---|
| Research Institution | Nagasaki University |
|---|
Principal Investigator |
江原 雅彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70124823)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 公一 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40182240)
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20231798)
戸田 隆義 琉球大学, 医学部, 助教授 (30108295)
|
|---|
| Keywords | Non-01 Vibrio cholerae / 組織侵入性 / cpxP / signal transduction / multi-resistance gene |
|---|
| Research Abstract |
Non-01コレラ菌(vibrio cholerae non-01)はコレラ菌(Vibrio cholerae 01,0139)同様に水様性下痢を主症状とする細菌性下痢症の原因菌であるが、肝硬変、悪性腫瘍などを基礎疾患としてもつimmunocompromised hostにおいては創傷感染、胆道疾患、敗血症などの腸管外感染症を発症する奨励が数多く報告されている。特に肝硬変の症例において、V.cholerae non-01が原因菌となった敗血症に至った報告例は多く、最終的には多臓器不全に陥り、致命率は高く、約半数は死亡している。すでに74回日本細菌学会総会にて報告した敗血症モデルを用いてその発症の病態解明を目的として行った実験結果は以下のようであった。6週齢のddyマウスに1x10^8個のnon-01(山下株)を経口投与すると投与後10時間で末梢血から菌が分離されはじめ、27時間後には全てのマウスの末梢血から菌が分離された。菌接種後15時間から死亡し始め30時間後にはすべてのマウスが死亡した。死亡率、発症率ともに菌量に依存して上昇した。腹腔内容液、門脈血、肝臓からの菌の分離結果から、菌は粘膜から直接血管に入り、門脈、肝臓を経て血流に入ることが示唆された。IL6,TNFαの血中炎症性サイトカインは炎症と敗血症の進展に伴って増加し、組織学的には肝細胞の変性壊死、脾臓の梗塞が高頻度に見られた。更にプロテアーゼ阻害剤のZincovが発症を抑制するか否かを検討した結果発症抑制効果が認められた。またsignal transduction systemのinhibitorのcpxP発現株もsecretion passwayの阻害により、発症抑制効果が認められた。また今回の研究期間中に私事ながら、最愛の長男(享年30才)を失い、実験計画を変更せざるを得なかった。
|
