2004 Fiscal Year Annual Research Report
感染におけるHMGB-1のサイトカインとしての役割
Project/Area Number |
15590397
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
蓮沼 良一 北里大学, 理学部, 助手 (30104566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝本 博明 北里大学, 理学部, 講師 (00253534)
熊沢 義雄 北里大学, 理学部, 教授 (30072375)
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Keywords | HMGB-1 / エンドトキシンショック / S.typhimurium感染 / ガラクトサミン負荷マウス / フラボノイド / ナリンジン / ヘスペリジン |
Research Abstract |
HMGB-1の受容体は糖化最終生成物(AGE)の受容体(RAGE)と共通することが報告されているが、RAGEがどのような働きをしているか明らかではない。そこでS.typhimurium aroA変異株大量感染系とガラクトサミン負荷系の2種類のエンドトキシンショックモデルを用いてHMGB-1とその受容体であるRAGEの可溶性型sRAGEの血漿レベルでの発現について、ウエスタンブロットを用いて検討した。 S.typhimurium aroA変異株1x10^8CFUを腹腔内接種した場合、LPS応答性BALB/cマウスは2日以内に全て死亡したが、LPS不応答性BALB/1ps^dマウスは全て生存していた。そこで経時的に血漿中のHMGB-1レベルをウエスタンブロットで解析した。BALB/cマウスでの血漿HMGB-1の発現は感染24時間後、マウスの死亡直前に認められた。BALB/1ps^dマウスはこの時点で生存しており、HMGB-1の発現は認められなかった。一方、sRAGEの発現は正常マウスでも認められたが、大量感染では経過時間とともに増強することが分かった。 D-ガラクトサミン負荷マウスは微量のTNF-αに感受性となり、死因は肝細胞のアポトーシスによるものである。D-ガラクトサミン負荷BALB/cマウスに100ngのLPSを投与すると、マウスは8時間以内に全て死亡した。血漿HMGB-1は死亡直前の6時間後に初めて検出できた。一方、BALB/1ps^dマウスは全て生存しており、HMGB-1の発現を認めなかった。LPS投与によりsRAGEの発現は増加し、HMGB-1の発現と相関していた。柑橘系フラボノイドのナリンジン、ヘスペリジンの前投与により、aroA変異株感染により誘導されるショックが阻止され、HMGB-1の遊離も抑制された。 sRAGEの役割としてはHMGB-1の刺激を伝える一方で、過剰なHMGB-1シグナルを緩和するために細胞表面のRAGEのカルボキシル末端が切断されsRAGEで遊離し、HMGB-1を捕捉するものと考えられる。我々が用いた実験モデルでは、死の直前に細胞から大量のHMGB-1が遊離してくるので、この遊離したHMGB-1がさらに単球/マクロファージに作用してTNF-αなどのサイトカイン産生を促進することはなく、その発現は死に帰結するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)