2004 Fiscal Year Annual Research Report
クラミジア・ニューモニエの生体内伝播様式の解明と動脈硬化症発症機序における役割
Project/Area Number |
15590399
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 博之 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40221650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 晴彦 杏林大学, 医学部, 助教授 (20146541)
大崎 敬子 杏林大学, 医学部, 助手 (90255406)
神谷 茂 杏林大学, 医学部, 教授 (10177587)
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Keywords | Chlamydia pneumoniae / 動脈硬化 / real-time RT-PCR法 / ルイスラット / NODマウス / 末梢血液 / 生体内伝播 |
Research Abstract |
呼吸器感染症起因菌であるクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)感染と動脈硬化症発症との関連性が指摘されている。その最大の根拠は、動脈硬化部位より本菌DNAやRNAが検出されることにある。それ故、本菌の生体内での移行・分布状態を明確化することは、本菌感染症による動脈硬化症病態形成機序を解明する上で極めて重要である。そこで、肺に感染したC.pneumoniaeを効率良く末梢血管に移行させる動物モデルの開発を行った。生体内におけるC.pneumoniaeは持続感染型に移行し、通常の組織培養による検出方法では本菌の検出は困難であると考えられている。そのため、持続感染型に移行した本菌も検出することが可能なreal-time RT-PCR法により、本菌の生体内伝播様式をモニターした。その結果、ルイスラットは、本菌感染症に対して感受性が高く、ほぼ100%の個体において肺での本菌の長期定着が認められた。さらに肺への本菌の定着が認められたラットのうち約50%の個体において感染後3ヶ月間、本菌が持続的に末梢血液より本菌が検出された。また糖尿病発症後のNODマウスにおいて、C.pneumoniae感染後、生菌レベルでの末梢血液への移行が約50%の個体において認められた(投稿中)。糖尿病非発症NODマウスやICRマウスではこの様な現象は認められなかった。どちらの動物を用いた実験においても、C.pneumoniaeの肺から末梢血液への移行機序に関しては明らかに出来なかった。しかしながら、現在、比較的安価でC.pneumoniaeを生菌レベルにて肺から末梢血液へ効率良く移行させる適切な動物モデルが見当たらないことより、本研究により確立された動物モデルは、C.pneumoniaeの生体内伝播様式を解析する上で極めて有用な感染モデルになりうると思われた。
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Research Products
(3 results)