2004 Fiscal Year Annual Research Report
ネガティブストランドウイルスのトロピズムを規定する分子的基盤の解析
Project/Area Number |
15590411
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 薫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (00192162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 恭介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40180492)
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Keywords | 麻疹ウイルス / リバースジェネティクス / 細胞指向性 / エンベロープタンパク質 / 細胞レセプター / アクセサリータンパク質 |
Research Abstract |
麻疹ウイルス(MV)は主にリンパ系細胞に感染するが、ヒトでは上皮系、内皮系、神経系細胞にも感染する。ところが、MV野外株のレセプターであるSLAMはリンパ系細胞に限って発現するとされており、上皮系、内皮系、神経系細胞におけるSLAM発現の報告は無い。そこで我々は、これらの細胞についてMV野外株に対する感受性を調べ、初代ヒト細気管支上皮細胞でMVに特徴的な多核巨細胞が形成されることを見出した。この細胞への感染は、抗SLAM抗体、抗CD46抗体で阻止できなかったことより、第3の感染経路の存在が示唆された。 MVのVタンパク質とCタンパク質は増殖には必須ではないアクセサリータンパク質であると報告されている。我々はMVのVタンパク質あるいはCタンパク質を恒常的に発現するHeLa細胞を樹立し、Vタンパク質とCタンパク質の機能を解析した。その結果、麻疹ウイルスのVタンパク質は宿主のインターフェロン(IFN)のシグナル伝達系を阻害することを見出した。IFNシグナル伝達に関わる主要なタンパク質であるSTAT-1とSTAT-2について調べたところ、STAT-1、STAT-2のリン酸化がほぼ完壁に阻害されており、このリン酸化阻害がシグナル伝達阻害の原因であると考えられた。なお、Cタンパク質には抗IFN活性は認められなかった。 Cタンパク質を発現しないMV-C(-)を作製した。MV-C(-)はB95a細胞ではMV野外株と同様に増殖したが、293/hSLAM細胞では一過性の増殖を示した。また、MV野外株を感染させたカニクイザルの脾臓、リンパ節等には多くのMV抗原が検出されたが、MV-(C-)感染カニクイザルではMV抗原はほとんど認められなかった。以上の結果より、Cタンパク質はin vitroまたin vivoにおいてMVの増殖に重要な機能を有していることが明らかとなった。
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