2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染によるIRF-3活性化へ至るシグナル伝達機構の解明
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15590428
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
米山 光俊 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40260335)
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Keywords | シグナル伝達 / 自然免疫 / ウイルス感染 / I型インターフェロン / RIG-I / RNAヘリカーゼ / CARD |
Research Abstract |
I型インターフェロン(IFN)システムは、ウイルス感染に応答した自然免疫、およびそれに続く獲得免疫の制御に重要な役割を果たしていることが知られている。細胞は複数の方法でウイルスの感染を認識し、IFN遺伝子などの発現誘導へ至るシグナルを伝達するが、ウイルス感染細胞内でのウイルス検知メカニズムについては、これまでほとんど明らかになっていなかった。本年度は、そこに関わる分子の同定を目指し発現クローニングを試みた。その結果、RNAヘリカーゼであるRetinoic acid-inducible gene I(RIG-I)を同定することに成功した(Nature Immunology,7,730-737,2005)。RIG-Iは、C末のヘリカーゼドメインに加えて、N末にCaaspase recruitment domain(CARD)と呼ばれるシグナル伝達に関わるドメインを二回繰り返して持つ。解析の結果、RIG-Iはウイルス複製によって生じる細胞質二重鎖RNAをヘリカーゼドメインで認識し、ヘリカーゼのATPase活性による細胞内構造変化を介して、CARDから下流へのシグナルを伝達していることが明らかになった。また、RIG-Iの強制発現や発現抑制などの実験により、RIG-Iがウイルス感染に応答したIFN遺伝子の発現制御に必須な役割を担っていることが明らかになった。一方で、C型肝炎ウイルスなどの複数のウイルスは、RIG-Iを介したシグナル経路を特異的に阻害することで、ウイルスの増殖促進を行なっていることもわかってきた。このことは、RIG-Iを介したシグナル伝達機構の解明を通じて、種々のウイルス感染症に対する新たな治療法開発の可能性を示唆している。
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Research Products
(7 results)