2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590435
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
緒方 正人 三重大学, 医学部, 教授 (60224094)
|
Keywords | Tリンパ球 / MAPキナーゼ / ERK / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
ERKファミリーのMAPキナーゼ(MAPK)は、ERK1とERK2の二つが知られており、互いに高い相同性を示す。ERK1のノックアウトマウスは、Tリンパ球分化における正の選択が障害されると報告されており、ERK1に固有の機能があると考えられる。我々は、ERK2の機能を検討する目的で、その遺伝子改変マウスを作成した。 昨年度は、ERK2のノックアウトマウスが胎盤形成不全で致死となることを既に報告した。また、胎盤トロホブラスト細胞に限定した分化能をもつテトラプロイドキメラを用いたレスキュー実験によって、胎盤のトロホブラスト細胞でERK2が要求されることを示した。今年度は、T細胞に限定したコンディショナルノックアウトを行い解析した。 T細胞に特異的にCre組換酵素を発現するLck-Creトランスジェニックマウスを用いて、T細胞特異的にERK2を欠損したマウスを作成した。このコンディショナルノックアウトマウスは、生存可能であった。その胸腺細胞を解析したところ、CD4、CD8陰性細胞、CD4、CD8共陽性細胞は正常に存在したが、CD4、CD8単独陽性の成熟胸腺T細胞が激減していた。従って、ERK2がT細胞の分化に必要であることが明かになった。CD4、CD8共陽性T細胞からmRNAを回収し、遺伝子発現をERK2コンディショナルノックアウトマウスと正常マウスで比較したところ、転写因子Egr-1の発現が低下していた。Egr-1のノックアウトマウスは、T細胞の分化障害が報告されており、Egr-1がERK2経路の生理的標的遺伝子としてT細胞の分化制御に関わることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)