2003 Fiscal Year Annual Research Report
医療保険および介護保険の適正規模とリスク構造調整に関する研究
Project/Area Number |
15590452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 廉毅 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊川 智之 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40345046)
井上 和男 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70275709)
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Keywords | 医療保険 / 介護保険 / 医療費 / 人口構成 / 疾病構造 / 傷病分類 / 患者調査 |
Research Abstract |
本研究では、わが国における人口構成や疾病構造などのデータを用いて正確な医療サービス需要予測を行い、医療保険の適正規模とリスク構造調整について検討する。本年度の研究では、まず正確な医療サービス需要の推進方法について検討した。第一の方法として「社会医療診療行為別調査」を用いて性別、年齢別、傷病中分類別、入院・外来別の診療報酬点数等を算出し、これに「患者調査」の性別、年齢別、傷病中分類別、入院・外来別の患者数(入院については調査日の入院者数、外来については調査月の外来患者総数)を乗じることにより、年齢や性別等の医療費の違いを考慮した直接法に基づく推計方法を考案した。第二の方法として、医療機関において疾病別医療費を調査し、これに先行研究で行ったアンケート調査による患者推計値を乗じて求める方法を検討した。前者については「社会医療診療行為別調査」の一部データについて目的外使用許可を得て肝疾患関連の年間医療費推計を行ったところ、ウイルス肝炎(入院517億円、外来949億円)、肝及び肝内胆管の悪性新生物(1343億円、173億円)、慢性肝炎(178億円、332億円)、肝硬変(664億円、297億円)等の推計値を得た。一方、後者の方法を月経困難症に適用したところ、手術治療約320億円、薬剤治療約2,000億円、診断のみ約20億円、売薬による自己治療500億円等の推計値を得た。従来、わが国の医療費推計は、「国民医療費」調査に基づく傷病大分類毎の推計値しかなかったが、上記の方法を用いることにより、詳細な病名・症状別、年齢・性別・入院・外来別、治療行為別の医療費推計値を得ることが可能であり、正確な医療サービス需要予測に役立つと考えられた。
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