2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神主義によらない医療事故防止のための医療従事者間の科学的作業連携解析
Project/Area Number |
15590454
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
村瀬 澄夫 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70200285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 信裕 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (50362132)
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Keywords | ディスクマネージメント / 作業解析 / 医療事故 |
Research Abstract |
医療事故は、患者を囲む医療チーム間の相互作用が重要なポイントとなっている。特にこの点は、医療制度や医療に対する文化的背景により大きく異なる物であり、必ずしも欧米での調査結果が日本国内に適用することができない大きな理由である。そこで、医療事故が患者-行為者-指示者のどのような相互作用に起因しているかを作業解析の手法で調査し、その結果を患者からの統計学的距離として、事故の種類との因果関係を明らかにするべく検討を行った。 医療事故が発生する職場環境を探るべく、報告曜日や発生時間などの時間的な要因を含めた作業解析を行った結果、事故は指示の確認不足や実施の失敗により、日内では、朝に集中して発生し、漸減する傾向が認められたほか、週末に向けて発生する可能性が高くなることが認められた。 指示者-行為者-患者で示される作業経過において、指示の消失・確認不足・不十分はすべての過程で認められる結果となり、指示の伝達方法に問題のあることが認められた。また、伝達方法に着目すると[指示が不十分]や[指示の消失]の場合、行為者レベルでは、[指示の確認不足]や[指示の誤解]が発生する恐れがあるうえ、場合によっては[誤った内容を実施]してしまうことが推定された。 従って、行為者レベルで発生する事象の多くにも、背景に指示の伝達過程の問題があると示唆された。さらに、発生事象の作業解析を行うことは、職場環境における事象の発生について、より詳細な状況判断と原因究明につながる手がかりを得るために有用なものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大倉博文, 小野千恵子, 丸山ひさみ, 村瀬澄夫 他3名: "リスクマネージメントシステムと作業解析"第23回医療情報学連合大会論文集. 583-584 (2003)
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[Publications] 野瀬貴可, 伊藤寿満子, 松本あつ子, 村瀬澄夫: "院内ネットを利用した転倒転落防止に関する取り組み"平成15年度国立大学病院情報マネジメント部門連絡会議. 11-12 (2004)