2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590463
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
林 俊治 自治医科大学, 医学部, 講師 (40260765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 恵美子 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (80113570)
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Keywords | 水流配管 / 医療機器 / 細菌汚染 / 内視鏡洗浄機 / 無菌水作製装置 / 歯科診療ユニット / 非定型抗酸菌 / 非発酵グラム陰性桿菌 |
Research Abstract |
我々は水流配管を有する様々な医療機器、具体的には内視鏡自動洗浄機・手洗い用無菌水作製装置・歯科診療ユニットの細菌汚染調査を行った。その結果、これらの機器の水流配管が高率に非定型抗酸菌およびブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌(NF-GNR)に汚染されていることが判明した。配管の中でも特にフィルター・配管の連結部分・水を貯めるタンクから大量の細菌が分離された。非定型抗酸菌とNF-GNRの共通点は、栄養分の少ない水道水中でも増殖できるという点である。しかし、両者が機器の配管に侵入する経路には違いが見られた。水道水は常に定量の非定型抗酸菌を含んでおり、上記の機器の非定型抗酸菌汚染は水道水に由来していることが確認された。一方、NF-GNRはほとんど水道水中に含まれていなかった。NF-GNRはまず機器の水の排出口を汚染し、水流に逆らう形で上行性に機器内部の配管に拡がることが確認された。これらの菌が機器の配管中に定着して増殖を始めると、汚染機器から出てくる水に大量の細菌が含まれることとなる。その結果、細菌で汚染された水で内視鏡や医療従事者の手指を洗うこととなる。非定型抗酸菌やNF-GNRは強い病原性を持っているわけではない。しかし、免疫抑制状態の患者には十分危険な菌であり、これらの菌によって医療機器および医療従事者の手指が汚染されているという現状は、院内感染の対策において極めて危険と考えられる。さらに、我々は汚染された内視鏡自動洗浄機の配管をグルタールアルデヒドを用いて消毒し、清潔な状態をどの程度の期間維持することが可能か検討した。その結果、消毒後6ヶ月目の時点で配管の細菌汚染が認められた。この結果は水流配管を有する医療機器の清潔維持が簡単ではないことを示している。
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