2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物有害反応の規定要因の解析と回避のための合理的投与設計システムの開発
Project/Area Number |
15590469
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中野 重行 大分大学, 医学部, 教授 (10033341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小手川 勤 大分大学, 医学部, 助教授 (20264343)
小手川 喜美子 大分大学, 医学部, 助手 (20244171)
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Keywords | クアゼパム / イトラコナゾール / フルコナゾール / 薬物相互作用 / 脳波 / CYP2C9 / CYP3A4 / 精神運動機能 |
Research Abstract |
薬物有害反応の個人差に関与する要因の解析 クアゼパム(QZP)の代謝には、チトクロームP450(CYP)2C9および3A4の関与が報告されている。本研究では、CYP3A4の阻害作用を持つイトラコナゾール(ICZ)とCYP3A4とCYP2C9の阻害作用を持つフルコナゾール(FCZ)を用いて、QZPの薬物動態に及ぼすこれらのアゾール系抗真菌薬の影響について検討した。本年度は、特に脳波解析を実施し、薬物動態と脳波との関連性について検討を加えた。 対象は、健常成人9名(いずれもCYP2C9の遺伝子変異なし)で、(1)QZPとプラセボ、(2)QZPとICZ、(3)QZPとFCZの併用時の比較を行った。QZP内服後96時間にわたり採血を行い、血漿中QZPおよびその代謝物(M4、M6)濃度を測定した。脳波については、各測定時において約3分間記録し、高速フーリエ解析により、前頭葉誘導(F2とF3の平均値)のβパワーを求めた。脳波については、QZP投与前値に対する変化率を算出し、投与後24時間までの変化率曲線下面積(AUE)を算出した。 QZPのC_<max>,AUC_∞はFCZにより有意に増大し、CL/Fは有意の低下を認めたが、ICZ併用群ではQZPの薬物動態に有意の影響を認めなかった。代謝物M4の薬物動態には、抗真菌薬の影響を認めなかった。しかし、M6のAUCはFCZ併用により有意の低下を認めた。AUEは、ICZ併用時にはplaceboと有意な差を認めなかったが、FCZ投与時に有意に低下していた。この結果は、既に報告した数字連続加算を指標にした精神運動機能の低下と一致しており、QZP投与の際の中枢神経系への作用は、代謝物であるDOQ濃度と関連していることが示唆された。
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