2005 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼ等高分子化合物と低分子化合物の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
15590474
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
赤穂 栄一 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (50122239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 盛男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00068553)
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Keywords | 高分子 / ステロイド / 構造活性相関 / ドッキング / 基質 / チトクロムP450 |
Research Abstract |
本研究課題は、チロシンキナーゼ及びその他の高分子化合物と低分子化合物に関する研究である。近年薬物代謝酵素であるチトクロムp450及びそのサブフォームp450sに対する関心が高まってきた。各種のサブフォームが存在していることが判明し、それらのサブフォームと各種薬物の代謝の相関性は、変異原性的観点、ドッキング等のコンピュータをもちいた構造活性相関、生物活性試験等の観点から行われている。今回われわれは、ラットの肝ミクロソームp450CYP2C11を用い、[^3H]Progesterone 16α水酸化を阻害する要因に関して研究を行った。その結果、水酸化を阻害する要因として以下の構造的要因が重要であることが判明した。1)ステロイド骨格A及びBが折れ曲がった構造的配置を有すること(5α reduced)、2)C-3αヒドロキシ基の存在の重要性、3)C-17Bアセチル基の存在の重要性、4)C-18およびC-19位におけるメチル基の存在の重要性等であった。興味あることにステロイド誘導体の分子としての阻害強度は、上記で述べた、阻害因子係数を乗じたものにほぼ等しいことである。 水酸化をステロイドの構造的観点から検証してみると、水酸化に関与するヘムは、ステロイド骨格の内部に存在し、基質が水酸化されるためには活性部位の入り口付近の残基に基質が誘導されることが条件となると同時に、その後その残基を活性部位自体が存在する内部に誘導するメカニズムが必要になる。このメカニズムは、アミノ酸残基と、基質の疎水性、親水性、静電相互作用等が相補的に誘導条件に合致したときに可能となるものと推察される。このメカニズムの解明は、活性部位に薬物が誘導される正に起こるメカニズムでもあり、薬物の作用機序の解明にきわめて重要と考えられる。 われわれの研究は、受容体・薬物間の相互作用を基にした薬品開発の基礎になる研究であるが、開発された医薬品が適正に使用されなければ何の意味もない。その意味で薬剤師の専門的見地に立った活躍が期待される。この論点から、EBM,医師等とのチーム医療の研究論文も発表した。
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