2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳波および事象関連電位による高次脳機能障害の客観的評価方法に関する研究
Project/Area Number |
15590486
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 順子 京都大学, 医学研究科, 講師 (60159879)
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Keywords | アルツハイマー病 / パーキンソン病 / 高次脳機能 / 脳波 / 事象関連電位 / 周波数解析 / 頭皮上分布 / 反応 |
Research Abstract |
アルツハイマー病、パーキンソン病などの高次脳機能障害者でルーチン検査として記録された脳波を、科研費で購入したパーソナルコンピュータおよび統計ソフト、グラフィックソフトを用いて、周波数解析や頭皮上分布などの解析と統計的処理を行った。また、高次脳機能障害者と健康高齢成人を対象に、視覚呈示した語彙判断課題の二者選択反応時の脳波を記録し、各呈示刺激に対して誘発されるN400などの事象関連電位成分(ERP)を解析した。さらに、各刺激に対する誤反応と正しい反応とに各試行を分類し、反応時点で脳波をトリガーして平均加算し、反応のモニターやエラー情報処理などに関するERP成分エラー陰性電位(Ne),エラー陽性電位(Pe)などについて、統計処理および頭皮上分布の解析を行った。健康高齢者および高次脳機能障害者の各ERP成分の特徴や異常所見を神経心理学的検査などの結果と対比し検討した。 パーキンソン病では、N400成分、Ne、Pe成分は低振幅で、頭皮上分布も健康成人と異なる分布が認められ、パーキンソン病患者での基底核や前頭葉障害に起因する脳内情報処埋および反応のモニターやエラー情報処理などの障害を示唆した。また、アルツハイマー病患者は、N400成分の潜時遅延および課題施行時に高誤反応率を示したが、Ne、Pe成分は低振幅ながら保たれ、エラーの認識はある程度保たれていることを示唆した、なお、パーキンソン病での研究成果は、第15回脳電磁図トポグラフィー国際学会で発表し、アルツハイマー病における研究成果は国際誌に投稿中である。
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