2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳波および事象関連電位による高次脳機能障害の客観的評価方法に関する研究
Project/Area Number |
15590486
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 順子 京都大学, 医学研究科, 講師 (60159879)
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Keywords | 事象関連電位 / 高次脳機能 / パーキンソン病 / アルツハイマー病 / 反応時間 / 言語 / 認知機能 / エラー |
Research Abstract |
アルツハイマー型痴呆(DAT)では、言語に関する認知機能障害が早期から認められ、語彙判断課題施行時には多数のエラーが認められる。事象関連電位成分で、反応のモニターやエラー検出にかんする成分と考えられているエラー陰性電位(Error Negativity : Ne)およびエラーの認識に関する成分と考えられているエラー陽性電位(Error positivity : Pe)を検討した。インフォームドコンセントを得た被験者を対象にして、語彙判断課題時の2者選択反応の課題を行い、課題施行の際にデーターレコーダに保存された正反応と誤反応時の試行を、高誤反応率および低誤反応率DATと健康高齢成人の脳波を反応でトリガーして平均加算し、NeおよびPeを検討した。低誤反応率DAT例では、有意にNe、Pe振幅低下、潜時延長を認めた。Ne、Pe成分の潜時延長は低誤反応率DATにおける情報処理の遅延を示唆したが、低誤反応率DATにおいて、反応のモニターや、エラーの認識はある程度保たれていることを示唆した。高誤反応率DAT例ではNe、Peは明確でなかった。高度の痴呆例では、課題施行時のエラーをエラーとして認識していない可能性を示唆した。言語に関する認知機能障害のないパーキンソン病での検討では、Ne、Pe成分の潜時の有意遅延はなかったが、課題施行時の反応時間の有意延長と高誤反応率、Ne、Pe振幅の低下が認められ、反応のモニターや反応への戦略やエラーのモニターや認識の変容を反映したと想定された。なお、これらの成果は国際誌に掲載され、また国際誌に投稿中である。
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Research Products
(2 results)