2003 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症の危険因子ADMAの微量検出・定量法の開発
Project/Area Number |
15590494
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
木本 真順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比江森 美樹 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (80326412)
山下 広美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (70254563)
辻 英明 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20093875)
松岡 秀洋 久留米大学, 医学部, 講師 (80248393)
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Keywords | Nitric oxide / メチル化アルギニン / ADMA / DDAH / 心臓血管動脈硬化症 / 組換え型ヒトDDAH / モノクローナル抗体 / ハプテン抗原 |
Research Abstract |
我々は生体内に存在するADMAがNO産生の内因性阻害剤として働き、これを代謝する酵素であるDDAHがNO産生制御系の鍵酵素となるという新説を導きだした。この事実から、動脈硬化症をはじめとするNO産生障害が原因となる病態の発症・進展のメカニズムを明らかにし、新しい予防・治療の概念を産み出すためにも生体内のADMA動態を詳細に評価しうるシステムの構築が重要な課題であると考えられる。このような観点に立って、本研究においては、ADMAの特異的かつ微量検出・定量法の開発を計画した。現在、二つの方法の開発を考えている。一つは、DDAHの酵素反応を利用したシステム(システム1)であり、他の一つはADMAに対するモノクローナル抗体を作製してELISAによる定量系を確立(システム2)である。平成15年度は、主としてシステム2の研究計画に沿って実験を進めた。システム2が成功するか否かは、ADMAに特異的に反応する最適のモノクローナル抗体が得られるかどうかにかかっている。ADMAのような低分子の有機化合物は、ハプテンに属し、それ自体は、抗原性は持たないが、抗原性を持つタンパク質(BSAなど)を担体として、これと共有結合した複合体は、ハプテンに対する特異抗体を産生する抗原となる。本研究においては、ADMAとBSAを異反応性2価架橋剤を用いたMBS法により、ADMA-BSA複合体を合成した。合成物はBSA,1molに対して、約20molのADMAを含んでいた。これを免疫原としてマウスに免疫し、常法に従いモノクローナル抗体の作製を行った。即ち、免疫マウスの脾臓とミエローマ細胞の融合を行い、これを96wellの培養プレートに播種し、HAT培地により選択培養した。すべてのwell(480 wells)においてハイブリドーマの増殖が観察され、ELISAによりADMA-MSA複合体に対して抗体を産生しているwellを選択した結果、すべてのwellが陽性であった。そこで、抗体価の高かった20 wellsにつき、ADMA, SDMA(ADMAの位置異性体)およびアルギニンとの競合阻害ELISAを行った。ADMAに対してのみ特異性の高い抗体産生wellが4個選択された。これらを限界稀釈法にて2回クローニングし、最終的に3種のハイブリドーマ細胞株を樹立した。各種細胞から産生されたモノクローナル抗体のうち、3種すべてがADMAに対する特異性、親和性ならびに他のアルギニン誘導体との非交叉性において目的に適した抗体であった。今後、本抗体を用いて、ADMAの簡便かつ微量測定系の開発へと進める。
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