2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経系に作用点を持つ有機化学物質の職域集団における生殖影響リスク評価
Project/Area Number |
15590510
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80281070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10020794)
市原 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90252238)
柴田 英治 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90206128)
山野 優子 昭和大学, 医学部, 講師 (30167580)
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Keywords | 化学物質 / 生殖影響 / リスク評価 / 精液 / 職業曝露 / 職域 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き、研究参加への同意を得られたハロゲン化水素殺虫剤の製造事業所従業員と有機リン系殺虫剤散布作業者を対象に、生殖機能や自覚症状についての問診、血液・尿検査、精液検査、その他生殖影響の指標となる可能性のある項目の調査(前立腺体積など)を実施した。尿では、有機リン系殺虫剤の曝露指標として、尿中ジアルキルリン酸の測定も行った。また、対象とする化学物質は神経系への作用を有し、職域においては生殖機能に影響を与える曝露量以下で神経系への影響が現れる可能性もあるため、神経内科医による神経系のスクリーニング的評価並びに下肢の神経伝導速度検査をあわせて実施した。6月には、北欧を中心とする研究者らと研究交流を行い、精液検査の被験者参加率を向上させるための手法や精液標解析に関する技術的側面についても意見交換した。 害虫駆除作業で殺虫剤に曝露される作業者集団における生殖機能健康調査では、精液質の調査で作業密度の高い夏季に非曝露対照者集団に比べて運動性の低い精子の割合の有意な上昇を認めたが、他の調査した指標に関しては問題とすべきことが明らかな有意な所見を調査時点では認めなかった。このため,精巣毒性が疑われるジクロルボスをラットに9週間投与したが、運動精子率の有意な、しかし些少な低下が認められたものの、赤血球アセチルコリンエステラーゼ活性が大きく抑制される用量域での変化で、ヒト集団で認められた所見とジクロルボス曝露との因果関係は否定的と考えられた。
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Research Products
(3 results)